一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 3D-3
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5月29日
高等学校新学習指導要領にみる消費者教育の可能性
-消費者教育の体系化に基づく分析-
*小田 奈緒美
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抄録

近年、消費者問題は複雑化・多様化しており、若者を取り巻くトラブルも増大している。そのような中で、学校教育において、消費者教育を積極的に展開することは、次世代を担う自立した消費者市民を育成するうえでも重要である。
目的 本研究では、平成21年3月改訂の高等学校新学習指導要領と同解説(高等学校家庭編・公民編)の中に、「消費者教育の体系化」(2006年)及び「消費者教育の総合的推進に関する研究」(2007年)によって提示された「消費者教育の学習内容(領域別・ライフステージ別(少年期)目標に対応する41項目)」がどの程度取り入れられているかを明らかにすることを目的とした。
方法分析にあたっては、「消費者教育の学習内容(領域別・ライフステージ別(少年期)目標に対応する41項目)」消費者教育に求められる少年期41項目の学習内容が、分析対象である小学校及び中学校の学習指導要領または解説にどの程度取り上げられているかを確認、評価した。
結果 分析の結果、安全、契約・取引、情報に関係する学習内容にかなり不足があり、とくに欲しいものやトラブルを家族や身近な人に説明したり相談したりする態度や姿勢、個人情報や著作権の慎重な取り扱いに関する理解や意識を育むための学習機会がみられないことが理解された。また、リスクと保険の活用のほか、3Rなど環境に関する用語の理解や環境活動への積極的な参画を促すような学習の充実が必要であることが推察された。
 今後、教科以外の時間も活用し、家庭や学校を取り巻く諸組織と連携しながら、少年期における消費者教育が一層推進することに期待したい。

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