はじめに
クールビズ運動が2005年より実施され、夏期における室温28℃設定やノージャケット・ノーネクタイが定着しつつある一方、地球温暖化や異常気象により室内においても熱中症状罹患が報告されている。そこで夏期における日本有数の高温エリアである中京地区内陸部にてクールビズ実施オフィスの温熱環境および勤務者調査を行い、クールビスオフィスの現状や問題点把握と、温熱環境評価を行った。
研究方法
調査は09年8月と9月に行われた。調査対象は岐阜県南部某市にあるオフィスビルで、業種はIT系および一般事務であった。執務室の温熱環境条件の測定と、そこで働く人のべ173人を対象にした着衣状況や主観的申告のアンケート調査を行った。
結果
8月の調査日の外気温は最高35℃でその日の執務室の気温は約26℃~28℃、相対湿度は30~50%であった。9月の調査日の外気温は終日23℃程度、相対湿度は60~70%で執務室気温は25℃~27℃、相対湿度は3カ所ともに40~50%であった。アンケートの着衣状況より算出された着衣量の平均値は男性が0.55clo、女性は0.58cloで、特に女性の9月の着衣量は個人差が大きかった。勤務者の温冷感申告は8月と9月、男女によって差がみられ、女性より男性の方が「暑い」と申告し、9月は「暑い」から「寒い」まで申告にばらつきがみられた。好みの設定温度については、平均値が26.2℃でありクールビズ設定温度の28℃と1.8℃の開きがあった。
まとめ
夏期の高温エリアである中京地区にてクールビズ実施オフィスの温熱環境および勤務者調査を行い、クールビスオフィスの現状や問題点把握と温熱環境評価を行った。その結果、温冷感や好みの温度などにばらつきがみとめられた。