一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 3J-5
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5月29日
大学生の住まいにおける真菌の実態調査
*萬羽 郁子東 実千代久保 博子磯田 憲生
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抄録

【目的】室内空気汚染物質である真菌は、アレルゲンとしてひとの健康に影響をおよぼすとともに、木材の腐朽など建築物被害をおよぼすことがある。本報では、大学生の住まいにおける真菌の実態調査を行い、室内温熱環境、住まい方との関連性について検討を行った。
【方法】付着菌はコンタクトプレート法とし、CP加サブロー寒天に採取した。空中浮遊菌はRCSエアサンプラーにより、室内空気を40L/minで1分間SDX培地に採取した。いずれも25℃で96時間培養した後、コロニー数をカウントした。2010年10月~11月に実施した。 調査1 奈良市N大学の学生寮20室を対象に、付着菌のみ床中央、窓側壁面の高さ20cm、120cmの3カ所で採取した。一部のデータについて、菌種の同定を行った。 調査2 奈良市内の学生アパート7件を対象に、付着菌を床中央、南北の床、南北壁面高さ20cm、120cmの7カ所と、空中浮遊菌を室中央高さ120cmで採取した。
【結果】真菌採取時の室内温熱環境は、24.6±4.1℃、55±9%だった。測定場所別の付着菌数は、調査1、2とも床の隅や壁20cmで多く、表面温度が低く、空気が滞留しやすいことが影響したと考えられたが、住戸によるばらつきが大きかった。調査1より、真菌の種類としてcladosporiumが多かったことや、調査2の空中浮遊菌についてIO比が0.1~0.6と低かったことから、外気の影響が大きいと推測された。また、一部の掃除頻度が低い住宅では真菌数が多い傾向がみられた。
※本研究は、文部科学省科学研究費基盤研究A(課題研究21240067)の助成を受け実施しました。

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