一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 2P-36
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5月28日
高齢者施設に勤務する栄養士の伝統食に対する意識
*久保 加織佐藤 有美串岡 慶子
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抄録

目的 伝統食を伝承することは、伝統的な食文化の継承や地域農業の活性化に加え、健康増進、生活の質の向上、食料の安定供給の確保につながる食料自給率の向上にも役立つと考えられる。本研究では、伝統食に長年なじんできた高齢者が入所する高齢者施設で給食を提供する栄養士を対象に、伝統食に対する意識を調査し、伝統食の伝承に有効にはたらきかける方法について検討した。
方法 「給食と伝統食に関する調査」として、平成22年2月から3月に、滋賀県内の高齢者施設(特別養護老人ホーム67 施設、老人ホーム29 施設)で給食に携わっている栄養士に対し、郵送による質問紙調査を行った。有効回答率は71.9%であった。
結果 伝統食の伝承を全員が必要であると考えていたが、「ぜひ伝承していきたい」と回答した人は25%であった。自身の食において地産食材や有機食材を選ぼうとする人ほど、また、伝統食を食べたり作ったりすることが好きな人ほど、伝統食を積極的に伝承したいと考える傾向が強かった。伝統食を食べたり作ったりすることを好まない人は約10%であったが、伝統食を作るには手間がかかる、技術がいる、時間がかかる、食材調達が難しい、塩分が多いなどと考える人は約50%に達した。伝統食を給食に取り入れることに関して、「入居者に喜ばれる」や「会話がはずむ」などのメリットを感じる人は半数以上いた一方で、手間やコスト、材料調達の面からのデメリットを感じる人も約40%いた。伝統食を給食に取り入れることによるメリットを強く感じる人ほど伝統食を給食に取り入れようとする傾向があったが、デメリットをどの程度感じるかと伝統食を給食に取り入れようと思うかの間には相関は認められなかった。

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