一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 2P-56
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5月28日
ハノイ近郊のドゥオンラム村の高齢女性の衣生活
-伝統衣服と洋服-
*猪又 美栄子谷井 淑子加藤 求下村 久美子
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抄録

目的 伝統的な衣服文化は生活の近代化とともに無くなりつつあり、後世に伝えるためには詳細な調査と保存活動が必要である。昭和女子大学の国際文化研究所の服飾部門では、研究プロジェクト「ベトナム伝統農村集落の地域比較研究と保存」に参加して、2005年からベトナム北部・中部・南部の衣生活調査を行っている。70歳以上の高齢女性は伝統的な衣服を日常的に着用しているが、高齢男性では日常的に着用している人は既に少数である。ベトナムの国家文化財に指定されているハノイ近郊のドゥオンラム村の高齢女性について、冬の衣生活の調査を行い、伝統衣服と洋服の着用状況について考察した。
方法 (1)2010年12月に行った衣生活調査のうち、14名の高齢女性(71~91歳)について解析した。(2)聞き取り調査の内容は、着用衣服の種類と枚数、就寝時の着用衣服、1日の生活時間、昔の防寒衣についてなどである。(3)室内において、衣服の最内層の温度・湿度を上腹(剣状突起直下)で椅座位安静で5分間測定し、温熱的快適感について5段階で評価させた。室内の温度は17.1~21.0度であった。
結果 (1)夏は伝統衣服だけを着用しているが、冬は伝統衣服の上に毛糸のカーディガンやベルベットの上着を重ね着していた。(2)上半身の衣服枚数は平均4.4枚(3~8枚)で、下半身はクアン(ズボン)に素足で、サンダルを履いていた。9名はクアンを2枚重ねていた。衣服の最内層の温度は平均32.4度で、伝統的な衣服に洋服を組み合わせて、快適に過ごしていた。(3)就寝時は、日中に着用していた衣服の上にカーディガンや毛糸のズボン等を重ね着し、耳を覆うためにスカーフを被り、靴下や手袋を着用して寒さを防いでいた。

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