一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 3P-15
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5月29日
小学校児童へのストレス低減法の取り組み
*得丸 定子名嘉 一幾
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抄録

【目的】近年、いじめ、学級崩壊などの学校教育現場における諸問題を背景として、児童生徒のストレスに関する研究が報告されている。しかし、その解消へ向けた具体的な実践研究は十分ではない。そこで、本研究では探索的取り組みとして、児童へのストレス低減実践の効果について、心理尺度側面からの検討を試みた。
【方法】本研究におけるストレス低減法として、ジョン・ガバット-ジンが開発したMBSR(Mindfulness Based Stress Reduction)の一部を用いた。具体的には、目を閉じて、自分自身の呼吸に意識を集中させ、体の緊張を緩め、リラクゼーションを図るものあった。対象は,岐阜県高山市内の公立A小学校3年生22名(男子12名、女子10名)、実施期間は1ヶ月であり、MBSRは朝の読書の時間等に5~10分程度、週2回実施した。評価方法として心理尺度アンケート調査を行った。測定項目は、協力校教員の要望を反映した「生活習慣」、「独立協調」、「学習目標志向」、「友人関係」、「学習意欲」の5大項目を構成する下位項目を設けた(属性を含め全24項目、属性以外は5段階尺度)。アンケートにより得られたデータは、サイン検定及び対応のあるt検定を用いて統計的検定を行った。
【結果】心理尺度5大項目において有意差がみられなかったため、下位小項目の尺度得点におけるサイン検定及びt検定を行った結果、「他者重視傾向」「協同志向」「学習意欲」における小項目のサイン検定で有意傾向(p<.15)、「友人関係」における項目のサイン検定(p<.10)、及びt検定(t(18)=-2.397, p<.05)でそれぞれ有意差が示された。このことから、今回実施したMBSRによって、他者重視傾向が弱まり(独立心が向上)、協同傾向が低くなり、本当の気持ちを話す傾向が高まり、持続・集中力が高くなる傾向が示された。

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