一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 2F-05
会議情報

口頭発表 5月28日 食物
動脈硬化症モデルマウスにおけるレスベラトロール摂取の効果
山上 小百合*中田 理恵子本郷 翔子滝澤 祥恵井上 裕康
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的 赤ワイン等に含まれるレスベラトロールは、長期摂取による心血管系疾患の発症リスク低下に関与する成分として注目されている。我々はレスベラトロールによる核内受容体PPARα,β/δ,γの選択的な活性化、PPARα活性化を介した脳保護効果、PPARαの直接的な活性化(PLOS ONE 2015)を明らかにしてきた。さらに、生理的条件に近い低濃度のレスベラトロールで処理したヒト血管内皮細胞で、血管拡張や血小板凝集抑制に関与する血管内皮型NO合成酵素の発現誘導とともに、生体の恒常性維持に関わるオートファジー関連および活性酸素消去や抗炎症作用に関与する遺伝子群の発現が誘導されることを報告した(第66回本学会, Br. J. Nutr. 2013)。本研究では、動脈硬化症モデル動物を用い、レスベラトロールの効果を検討した。
方法・結果 レスベラトロール(0.05%)を3ヶ月間摂取したApoE欠損マウスでは、血漿HDL コレステロール濃度が有意に増加した一方で、non-HDLおよび酸化LDL コレステロール濃度、non-HDL/HDL比が有意に低値であった。また、大動脈全体および弓部の相対的脂肪沈着面積が有意に減少していた。さらに、起始部組織切片の染色から、血管壁の肥厚と肥厚部分への脂肪沈着の抑制傾向と、マクロファージ浸潤の抑制が観察された。以上より、レスベラトロールの長期摂取によって動脈硬化の進展が抑制される可能性が示唆された。(共同研究:キリン(株))

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top