一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: P-017
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ポスター発表 5月28・29日 食物
スプラウトの細菌汚染状況と低温汚染菌の薬剤感受性
*岡崎 貴世
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抄録

【目的】発芽直後の野菜の新芽であるスプラウト(かいわれ大根、ブロッコリースプラウトなど)は調理済み食品にトッピングされたり、サラダとして生食されることが多いため細菌汚染対策は特に重要である。スプラウトの衛生対策として、低温管理や塩素消毒が定められている。その有効性の検証も兼ね各種スプラウトの細菌汚染状況を調査し、特に低温で増殖する汚染菌の特性を明らかにした。【方法】スプラウト8種類を、上部2/3と下部1/3に分けて細菌検査を行った。検査は一般生菌、低温細菌等について、塗抹法で35℃、24~48時間(低温細菌は7℃、1週間)培養を行った。7℃で培養後のシャーレから所見の異なるコロニーを無作為に選択し、48株の菌を分離した。分離菌の抗生物質感受性には6種類のセンシディスク(日本BD社)を用いた。【結果】すべての試料から一般生菌、低温細菌および大腸菌群が検出され、1試料から糞便汚染の指標である大腸菌が検出された。またスプラウトの細菌汚染は、上部よりも下部が大きく、生産環境が影響していると考えられた。分離菌のうち44株がグラム陰性菌であり、豆苗は他のスプラウトと比較して低温で増殖する菌が多かった。分離菌は平均3.5種類の抗生物質に対して耐性を示し、多剤耐性菌が約8割を占めた。生産過程で塩素系消毒剤に抵抗性を持った菌がスプラウトに残存し、それらが抗生物質に耐性を示したと考えられた。

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