主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第68回大会
回次: 68
開催地: 金城学院大学
開催日: 2016/05/27 - 2016/05/29
目的 食生活が著しく多様化している今日では、若い世代層の味覚感度が低下していることが指摘されている。前報では、味覚感度と食生活状況との関連について調査を行った。その結果、食事形態との関連において、中食・外食中心群は内食中心群に比較し、うま味の認知閾値が高かった。味覚感度は日常の食事形態のみならず、生理的、社会心理的な影響により変化をもたらすことが知られている。そこで今回は季節によって味覚感度にどのような変化をもたらすかについて調査を行い比較検討した。
方法 管理栄養士養成課程の1年生(18-19歳)81名を対象とし、2015年8月初旬(夏季)と2016年1月下旬(冬季)の2回にわたって無味を加えた五味の識別検査および閾値検査を行った。
結果 五味の識別検査での全て正答した人は夏季で69.1%、冬季で30.9%であり冬季の方が低かった。誤答した人の中で誤答率の最も高かった味は、両季ともうま味であり、冬季の方がうま味を酸味、無味に、また無味を酸味、うま味に誤答している人が多かった。五味の刺激閾値では、塩味、酸味、甘味で夏季より冬季の方が高い傾向にあった。認知閾値では夏季において塩味が冬季より低くなり(p<0.01)、酸味、甘味でも夏季の方が低くなる傾向にあった。以上のことから冬季の方が味覚感度は低くなる傾向にあった。