一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: P-056
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ポスター発表 5月28・29日 被服
衣料廃棄物のコークス化リサイクルへ向けての基礎的検討
*熊谷 伸子井田 民男芳住 邦雄
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抄録

目的 衣類の廃棄物処理は、循環型社会の形成を実現するための重要課題であり、その要因解明が求められていると言える。本研究は、衣類の廃棄物処理の従来手法である単純な焼却によるサーマルリサイクルでなく、その概念を超えたケミカルリサイクルへの途を検討することを目的としている。すなわち、衣類の廃棄物をガス化・油化を含めたコークス化するプロセスの基礎的検討を行うことに主眼を置いている。
方法 衣類廃棄物対象物には、文化学園大学における縫製実習時に生じる裁断残布を用いた。それぞれをウール、コットンおよび化学繊維に分別して仕分けした。それらから約100gを用いて、個別に150℃に加温し、20MPaで加圧した状態を15分間保った。その結果、直径48mm、高さ44mm程度で比重1.3を超える固形成形品が得られた。
結果および考察 衣類廃棄物は加温、圧縮した結果、外観上の3種の異なる固形成形品となり、接着物の添加なしに固着物となることが認められた。特に、ウールの繊維廃棄物は滑らかな表面を呈する黒色の固形物となった。強度もコットンおよび化学繊維によるものと比較して大きいと言える。ウールは表面が撥水性、内部が吸湿性の高いタンパク質系の繊維であり、廃棄物としては扱いが容易でないとされている。しかし、本研究の結果では、固形物の特性として有用性の高いものであることが判明した。一方、コットンおよび化学繊維は、それぞれの基本物性を反映した特徴を有していると言える。

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