一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: P-064
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ポスター発表 5月28・29日 被服
シチトウイとイグサの構造と天然染料による染色
*都甲 由紀子佐藤 恵利菜西口 宏泰
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抄録

目的 畳の材料であり草木布の材料としての可能性を持つシチトウイとイグサの構造を明らかにし、天然染料による染色性に及ぼす影響を調べることを目的とする。
方法 シチトウイとイグサの断面と側面を走査型電子顕微鏡(日立TM3000)により観察した。シチトウイとイグサをキハダ、インドアカネ、タデアイ(化学還元法)により染色した。染色の前処理として、蒸し処理、灰汁炊き処理を行い、染色性への影響を調べた。染色結果は分光色差計(日本電色NF777)による測色と目視によって評価した。
結果 
・染色の結果は、シチトウイもイグサもキハダとインドアカネでは均一にある程度の濃さで染色できたが、タデアイでの染色では均一に染色できなかった。すべての染料で、蒸し前処理を行うことで濃くなり、灰汁炊きの前処理をすることで暗い色に染めることができた。
・シチトウイとイグサの構造の違いは、基本組織である柔組織の髄の部分に大きく表れた。シチトウイの髄の構造は比較的密度が低く隙間が不均一で、垂直方向に細胞壁が見られないのに対し、イグサの髄の構造は網目状でスポンジのような海綿状組織になっている様子が観察できた。染色にあたり、シチトウイは茎を割いて乾燥していることから、染液を浸透させやすいが、イグサの髄はスポンジのような構造でありシチトウイよりも多く空気を含んでいるため、染液を浸透させにくい構造が染色性に影響を与えたと考えられる。 

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