一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
69回大会(2017)
セッションID: P-079
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ポスター発表 5月27・28日 被服
リンゴ剪定枝による染色の試み
*佐々木 麻紀子
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抄録

目的 リンゴ剪定枝の樹皮を用いた染色を試み廃棄される素材を再利用することについて検討した。 方法 試料染材は4月下旬に剪定した長野県佐久市のふじリンゴの剪定枝樹皮部分を自然乾燥し、抽出時に約0.5~1cmに裁断して使用した。試布は多繊交織布(JIS)及び10号縮緬風紬(絹100%)である。浴比1:100とし、濃度を25~200%owfと変化させ、1液から3液まで煮沸抽出し、各抽出液で試料布を染色した。媒染剤は硫酸鉄10%、酢酸銅10%、酢酸アルミ20%、スズ酸ナトリウム10%である。染色布は色差計でL*値a*値b*値を測定し比較した。耐光、洗濯、摩擦はJISに準拠した方法で行い評価した。  結果 絹が安定して染まり抽出液は3液まで使えるが色は薄くなった。また1液では黄み、2・3液では赤みのある色に染まる傾向があった。染色布のL*値a*値b*値から、150%owfと200%owfの数値の変化は小さいため、染色濃度は150%owfが適していた。リンゴ剪定枝は媒染剤によって発色が異なることが確認できた。染色堅ろう度は洗濯試験で鉄媒染布は最大4-5級、銅は最大3級、アルミは4-5級の変退色があり、添付の絹はこれらの媒染剤の変退色と同程度の汚染が見られた。摩擦試験において湿潤状態は乾燥状態より1級から2級程度染色堅ろう度が低くなったことから、摩擦に弱く色移りしやすかった。以上のことからリンゴ剪定枝で絹の染色は可能であり、廃棄される剪定枝の再利用ができることが分かった。

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