一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
69回大会(2017)
セッションID: 2D-02
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口頭発表 5月27日 家庭経営・経済・家政学原論
消耗・耐用期間を考慮した消費支出の変動幅の推定
*重川 純子
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抄録

<B>目的</B> 家計調査などでは集計対象世帯の消費支出は平均値で示されている。この中には食料のように具体的な品目は変わっても毎月支出するものの他、耐久消費財のように購入頻度は低いが比較的高額なものも含まれる。家計は病気や事故などの突発的事項だけでなく、これらの更新を考慮した備えが必要となる。本研究では、どの程度の備えが必要となるのかを購入品目の消耗・更新頻度を考慮し、消費支出の変動幅の推定により検討した。
<B>方法</B> 2010年から2011年に実施された一般市民の話し合いによる最低生活費の研究プロジェクトでは消耗や買換の期間を踏まえ1ヶ月あたりの生活費が算定されている。この中の稼働年齢女性単身者の生活費リストを用い、生活費の変動幅の推定を行った。家電製品などの耐久財については、耐用年数のばらつきをワイブル分布を用いて統計的に導出した。
<B>結果</B> 消費支出のうち、毎月支出がある割合は4分の3であり、この半分は家賃による。購入頻度が5年以上の割合は2%である。購入単価積算に占める割合では毎月支出分の割合は約1割となる。耐用年数5年以上の家電品等14品目について、平均的な耐用年数で除した年間支出額合計は約2.5万円であるが、ワイブル分布による耐用年数ばらつきを考慮した支出額は最大約13万円、90%値は5万円強である。本試算では概ねの備えとして当該品目の支出年額の2倍程度分が必要といえる。

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