主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第69回大会
回次: 69
開催地: 奈良女子大学
開催日: 2017/05/26 - 2017/05/28
目的 福島第一原子力発電所の事故に起因する空間放射線量の高い周辺地域に暮らす人の衣生活に必要な放射能対策に関する研究は少なく,住民は衣生活に不安を抱えて生活をしている。特に外干しされた洗濯物は放射性物質の付着が懸念されることから,衣生活に対する不安感を軽減するための方策を探ることを目的として,福島県伊達市霊山町小国地区において洗濯に関する実態調査を行った。
方法 小国地区内にある異なる外環境の実験地6か所において6時間外環境に曝露した試料に付着するγ放射性核種の定量分析を行った。さらに,1か所の実験地において6時間から3週間の異なる曝露時間の条件で試料に付着するγ放射性核種の定量分析を行い,試料に付着する放射性核種の詳細な経時変化を捉えた。これらの結果から洗濯物の外干しの安全性および適切な外干し環境,外干し時間を検討した。放射線核種の定量分析にはゲルマニウム半導体検出器を使用した。
結果 全ての実験地において通常の洗濯物の外干し時間である6時間外環境へ曝露した試料からは放射性セシウムは不検出であったが,外環境への曝露時間が長期になるにしたがい,放射性セシウムの放射能濃度は高くなった。特に,高い放射能が検出された試料には土壌などの濃い汚れが視認された。これらの結果から,日常生活における衣生活の安心安全を保つための留意すべき点を整理し,望ましい洗濯物の取扱い方法の提案書を作成して地域住民に提示した。