主催: (一社)日本家政学会
会議名: 70回大会(2018)
回次: 70
開催地: 日本女子大学(東京)
開催日: 2018/05/25 - 2018/05/27
【目的】在来野菜は地域の食文化と密接につながり継承されてきたが、形や大きさの揃いが悪い、栽培に手間がかかる等の理由から、大量に均一な形や大きさで収穫ができ、汎用性が高い一般野菜に押されて生産が減少している。本研究では、滋賀県甲賀市甲南町杉谷地区で古くから栽培されている「杉谷うり」の継承を目的として、物理的特性を評価した。
【方法】杉谷うりと一般野菜である白瓜(桂大白瓜)、きゅうり(つばさ)を滋賀大学内の農場で栽培して収穫したものを分析に供した。冬瓜は、大津市内の農産物直売所で大津市産のものを購入して分析に供した。杉谷うりと冬瓜については、3cm角に切った果肉部を沸騰水中で一定時間加熱したものを加熱果肉として分析した。測定はクリープメーター(山電)を用いて、果皮は直径1.5mm、果肉は直径3.0mmの各プランジャーを1.0mm/秒で貫入させて行った。
【結果】生試料においては、杉谷うりの果皮は白瓜やきゅうりより硬く、果肉は白瓜より柔らかく、きゅうりより硬かった。もろさは試料間に大きな差はなかった。加熱果肉では、杉谷うり、冬瓜ともに10分間で硬さが変わらないまでにやわらかくなった。硬さが変化しない程度に加熱した果肉で比較すると、杉谷うりの加熱果肉は、冬瓜のそれより硬かったが、もろさは同程度であった。杉谷うりの果肉は、生で食する際は一般の瓜より柔らかいが、加熱した場合には冬瓜より歯ごたえがあると判断した。