一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
セッションID: P-056
会議情報

ポスター発表
応用栄養事業(1968-1986)を通してみた韓国の農村における食生活改善事業の実態
朴 卿希*上村 協子片平 理子江原 絢子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

背景と目的 応用栄養事業は、韓国の政府政策として1968年から約20年間農村地域で実施された食生活改善事業である。韓国戦争(1950-53)後の復興事業として推進が図られ、ユニセフ等国際機関の支援を受けながら栄養改善を最大課題として様々なプロジェクトが行われた。後にこの事業は、農村の近代化を目指して全国規模で展開されたセマウル運動の一環として行われた。長期に渡る国家主導型の生活改善事業としてその意義は大きいが、具体的な実施状況については注目されてこなかった。本研究では、韓国の忠清北道及び全羅北道地域における応用栄養事業を事例とし、官主導の栄養改善施策が実施対象の自治体でどのように展開され 、現地の人々に受け入れられたかについて明らかにすることを目的とした。
方法 事業の実施主体である韓国農村振興庁、応用栄養事業に関わった関係者から得られた資料等を用いた文献調査法を主とする。
結果 両地域ともタンパク質やビタミン補給が必要とされ、大豆・緑黄色野菜類の増産・摂取が推奨され豆乳の作り方等調理法の教育も行われた。しかし、大豆は豆乳より味噌玉にして食する傾向が強く、嗜好に合わないニンジンはキムチに入れて摂取し、食べ慣れない空芯菜等の野菜は受け入れられなかった。改善という名の下で行われた普及事業であっても、現地においては地域の食習慣を反映しつつ選択的に受け入れられていった様子がうかがえた。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top