一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
セッションID: P-137
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ポスター発表
家庭科における協同性の展開論理
-シティズンシップ概念の検討を通して-
*土岐 圭佑
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抄録

目的 本研究は,子ども・若者の生活基盤の不安定化と学校教育の限界という課題の解決を目指すシティズンシップ教育に関わる家庭科研究の特徴を明らかにし,家庭科においてその課題を解決するために必要な視点を示すことを目的とした.
方法 シティズンシップに関わる家庭科研究の4つのキーワード(シティズンシップ,消費者市民,市民性,生活主体)についての研究論文34編を分析資料とし,課題設定と各キーワードの捉え方に関する記述内容を分析した.
結果 課題については,教育内容や方法の提示を設定する研究が多く,そして,各キーワードの捉え方に関しては,空間軸(地域社会,国家,地球規模)を重視し,個人の社会参画能力を高めるという研究が多いことがわかった.しかし,従来の研究は,個人の社会参画能力を高める過程で,協同性の視点が不十分であることが明らかとなった.そのため,授業空間を個人と社会とをつなぐ中間領域と位置付け,多様な人々との対話や協働を重視するという特徴がある「家庭科における協同性の展開論理」を示した.家庭科におけるシティズンシップ教育は,子どもの協同性の育成を通して,家庭生活や地域生活の問題を考え,その解決に向けて行動できる家庭や地域の担い手としての主体を形成するという捉え方が重要であるという結論を得た.

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© 2018 一般社団法人 日本家政学会
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