一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
セッションID: P-175
会議情報

ポスター発表
東日本大震災の生活再建過程における衣生活の課題と解決方法〈第1報〉
宮城県石巻市での調査
*佐々井 啓久慈 るみ子菊池 直子山岸 裕美子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】東日本大震災後、被災者の生活支援に関して様々な観点からの研究がなされてきたが、衣生活に関する取り組みについては十分にし尽くされているとは言い難い。そこで標題の内容のうち、今回は衣服が独自にもつ精神的機能に着目し、震災から6年以上が過ぎた今だからこそ可能な、衣服に対する「思い」を中心に据えた調査を行った。
【方法】石巻市の仮設住宅集会所において手芸教室を開催し、参加者にインタビューを行った。また、復興公営住宅の集会場での活動に参加している利用者に対してもインタビューを実施し、実際の衣服を提示していただきながら心情を傾聴した。
 インタビューの内容は、①震災によって失われた服飾に対する思い②衣服に対する考え方の変化③表面にはあらわれない下着についての質問④和服に対する興味などである。特に④は、石巻市には古くから呉服店が多くあり、和服の文化が存在することから設けた項目である。実施期間は2017年9月~12月である。
【結果】被災者にとっての衣服とは、被災した当時は生存保証としての「着る」モノでしかなかった。しかし、歳月を経て生活の軌道を取り戻すことにより、衣服に対する各自の考えが構築され、自身のために「装う」衣服とへと変化している。そのため、衣服独自の機能を活かすことにより、今後の復興公営住宅におけるコミュニティの形成手段としても有効であることをつきとめた。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top