肩関節
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筋腱疾患
結節間溝内水腫と肩甲下筋腱断裂との関係
松尾 洋昭古川 敬三梶山 史郎尾崎 誠
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ジャーナル 認証あり

2014 年 38 巻 2 号 p. 613-616

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抄録

 MRI上の結節間溝内水腫(BG水腫)と鏡視下での肩甲下筋腱(SSc)断裂の存在との関係を調査した.2008年9月より2013年3月までに鏡視下腱板修復術を行った162肩を対象とした.男性106例,女性54例,手術時平均年齢は63.9歳,患側は右が110例,左が52例であった.術前MRIでのBG水腫およびSSc断裂所見の有無と,術中鏡視所見にてfoot printより剥離し修復を要すSSc断裂の関係を調査した.今回の症例162例中,MRI上水腫ありは82例,なしは80例であった.鏡視下にSSc断裂に対して縫合を行った症例は54例であった.BG水腫の有無のSSc断裂に対する感度は87.0%,特異度は67.6%であり,陰性予測値は91.2%であった.MRIでのBG水腫陽性のSSc断裂に対する感度および特異度は高くはないが,陰性予測値は91.2%と高い結果であった.術前MRIにおいてBG水腫が認められない場合,SSc断裂の可能性は少ないと考えられる.BG水腫の有無はSSc断裂の予測に有用な指標の一つである.

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© 2014 日本肩関節学会
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