肩関節
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学術集会発表論文
脱臼
  • 新谷 尚子, 吉村 英哉
    2026 年50 巻1 号 p. 1-3
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
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    肩関節前方不安定症に対して,ノットレスアンカーを用いた新しい手法での鏡視下バンカート修復術について,短期成績を検討した.2023年11月〜2024年8月に本術式を施行し,6か月以上追跡可能であった16例を対象とした.手術では,Knotless FiberTak™を用いて隣接アンカー間を縫合糸で架橋し,関節唇を連続的に関節窩へ圧着する手技を行った.術前後可動域,Rowe score,スポーツ復帰,再脱臼を評価した.レンプリサージは10例で併用し,平均手術時間101分であった.可動域はいずれも術前と同等で,Rowe scoreは50.3から97.2へ改善した.再脱臼例はなく,15例中13例(86.6%)が術前レベルのスポーツへ復帰した.本術式は,アンカー部分への負荷集中を回避でき,関節唇を連続的に修復できる方法であり,有用な手技となり得ると考える.

  • 石谷 瞭, 杉 憲, 水島 衣美, 冨居 りら, 渡部 裕人, 本間 美由, 芝山 雄二, 廣瀬 聰明
    2026 年50 巻1 号 p. 4-8
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は,3DCTを用いて円錐靭帯付着部と肩甲上切痕底部との位置関係を定量化し,烏口鎖骨靭帯再建における円錐靭帯骨孔作成の安全域を検討することである.対象は 2021年5月から2024年7月にCTを撮像した 59 名 60 肩(男性29名30肩,女性 30名30肩)とした.肩甲上切痕形態(横径・深度)および円錐靭帯付着部から切痕底部までの距離(CoL-bottom)を計測し,男女差と体格との関連を解析した.切痕形態は性差を認めなかったが,CoL-bottom は男性17.3 mm,女性15.2 mmと男性で有意に大きかった.症例全体では身長・体重とCoL-bottomの間に相関を認めたものの,男女別に解析すると有意な相関は認めなかった.円錐靭帯付着部と切痕底部までは平均16.3mmの距離を有しており,円錐靭帯再建における有用な解剖学的情報になり得ると考える.

  • 谷口 聡, 平川 義弘, 間中 智哉, 中澤 克優, 伊藤 陽一, 小倉 亜弥子, 寺井 秀富
    2026 年50 巻1 号 p. 9-12
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    直視下Latarjet法は,反復性肩関節脱臼に対する有効な治療法であり,主に共同腱,移植骨,関節包により安定性が得られるとされているが,関節包修復は不要であるとする報告が散見される.本研究の目的は,直視下Latarjet法における関節包修復の有無が肩機能スコアに与える影響を比較検討することである.対象は直視下Latarjet法を施行し,術後1年以上の経過観察が可能であった46例とし,そのうち関節包を修復した群(修復群)が17例,修復しなかった群(非修復群)が29例であった.修復群は術前と術後1年でWestern Ontario Shoulder Instability Index(WOSI),Rowe scoreが有意に改善したが,屈曲,外転,下垂位外旋,内旋は有意な改善を認めなかった.非修復群は術前と術後1年で屈曲,外転,WOSI,Rowe scoreが有意に改善したが,下垂位外旋,内旋は有意な改善を認めなかった.術後1年で可動域,WOSI,Rowe scoreにおいて2群間に有意差を認めなかった.両群ともに術後1年以内に再脱臼を認めなかった.直視下Latarjet法において関節包修復の有無にかかわらず術後1年の臨床成績は良好であった.

  • 廣瀬 毅人, 田中 誠人, 中井 秀和, 小谷 悠貴, 佐原 亘, 岡田 誠司
    2026 年50 巻1 号 p. 13-16
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    Bankart-Bristow(BB)法術後の関節包関節唇複合体(CLC)治癒と烏口突起骨癒合,および術後1年の臨床症状との関連を調査した.BBを施行し術後1年以上経過観察し得た45肩(平均17.4歳)を対象とした.CLCの状態を術後5ヶ月のMR Arthrographyで判定した.関節窩長軸に垂直な斜位水平断を関節窩5:00から近位側へ6 スライス抽出した.全スライスでCLCと関節窩の連続性を1-3点で評価しその平均値をhealing index(HI)とした.烏口突起は術後6ヶ月以内のCTで癒合37肩,癒合不全8肩であった.HIは癒合群2.76点,癒合不全群2.92点と癒合不全群の方が高値だったが有意差はなかった(p=0.07).再発例はなく臨床スコア(JSS-SIS,Rowe,WOSI)も両群間に有意差は認めなかった.BB術後のCLCの治癒は烏口突起グラフトの癒合不全があっても良好であった.

  • 阪口 太郎, 田中 誠人, 中井 秀和, 中村 真由子, 小谷 悠貴, 岡田 誠司, 廣瀬 毅人
    2026 年50 巻1 号 p. 17-20
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    骨性Bankart病変は肩前方不安定症の治療予後に関与し,その経時的変化に関する報告もみられるが,臨床では従来報告のない関節窩頚部の内外側方向の骨片増大を示す症例にも遭遇する.本研究では,骨性Bankart病変を有する反復性肩関節前方不安定症において骨片サイズの多方向変化を検討した.対象は初診時CTで骨性Bankart病変を認め,保存療法後に再発し手術を施行した29例29肩,初診時平均は17.5歳(14-27歳)であった.初診時および術前3D-CTにて骨片の上下径,前後径,内外側径を計測し,paired-t検定にて比較した.初診でのCT撮像時から保存療法での最終CT撮像時までの期間は平均245日(26-833日)であった. 上下径13.3→17.7mm,前後径2.5→3.4mm,内外側径6.8→11.9mmとすべてで骨片は有意に増大し,特に内外側径の増大が特徴的であった.骨性Bankart病変では関節窩頚部における内外側径を含めた経時的形態変化を考慮する必要があり,術前には前方からの骨片形態の詳細評価も重要と考えられた.

  • 山田 均志, 木村 亮介, 鈴木 一秀
    2026 年50 巻1 号 p. 21-26
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    鏡視下Bankart & Bristow変法(以下ASBB法)術後,肩周囲筋力と肘屈曲筋力を経時的に測定し,術側が利き手側か否かで筋力の回復過程に相違があるか検証することを目的とした.2016年から2024年まで当院にてASBB法を施行し,術前および術後3,4,5,6,9,12か月まで経時的に肩周囲筋力と肘屈曲筋力を計測できた20代までの男性19例19肩と女性4例4肩を対象とした.徒手筋力計にて等尺性筋力を計測し,術側が利き手側(8例8肩)と非利き手側(15例15肩)の2群に分け,それぞれの健患比を算出し比較検討を行った.術後1年までの期間において全肢位で筋力回復が得られ,術前値同等かそれよりも高い値を示したが,術側が非利き手側の場合,外転90°位外旋筋力は利き手側と比較して術後4,6,9,12か月で有意に低かった.また,術側が非利き手側の肘屈曲筋力は,利き手側と比較して術前および術後全期間において有意に低く,利き手間の影響が生じていた.

骨折
  • 田中 碩, 永田 義彦, 根木 宏, 髙橋 大地
    2026 年50 巻1 号 p. 27-30
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    上腕骨近位端骨折術後の肩関節拘縮について,本研究では滑液包側の癒着の影響について調査した.プレートを用いた上腕骨近位端骨折術後の肩関節拘縮に対して,抜釘と滑液包側の剥離ならびに鏡視下授動術を行った11例11肩を対象とした.手術は麻酔下での術直前の可動域(屈曲,外転,下垂位内外旋)を測定し,その後抜釘と滑液包側の癒着を剥離し,再度剥離術後の可動域を測定した.さらに鏡視下に関節包を全周性に切離した.麻酔下の術直前と剥離術後の可動域を比較し,術前,術後3カ月での他動可動域,JOA score,Shoulder36(Sh36)を測定し比較した.麻酔下の術直前と比較すると,剥離術後の可動域は屈曲以外で有意に改善していた.術前と比較すると術後3カ月のすべての可動域,JOA score,Sh36の健康感とスポーツ以外の項目は有意に改善していた.外転,下垂位内外旋の低下には滑液包側の癒着が関節包側より関与し,屈曲低下には関節包側の影響がより大きい可能性が考えられた.

  • 窪田 直弥, 中澤 克優, 間中 智哉, 伊藤 陽一, 平川 義弘, 山下 竜一, 小倉 亜弥子, 寺井 秀富
    2026 年50 巻1 号 p. 31-35
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    上腕骨近位端骨折(PHF)に対するリバース型人工肩関節置換術(RSA)術後の臨床成績に影響する術前因子を明らかにするため, 受傷から手術までの期間, および大結節骨片の大きさが術後1年時点での臨床成績に影響するという仮説を立てた. RSAを施行したPHF (Neer分類 4part), 25例を対象に, 受傷から手術までの期間, および大結節骨片の大きさを基準にそれぞれ2群に分け, 術後1年での臨床成績を比較した. 受傷から手術までの期間が30日未満の群(9例)と30日以上の群(16例)とで比較したところ, 30日以上の群で有意に屈曲可動域とConstant scoreが低値であった. また, 大結節骨片の大きさが30mm未満の群(15例)と30mm以上の群(10例)とで比較したところ, 外旋可動域が30mm未満の群で有意に低値であった.

  • 仲里 翔太, 津覇 雄一, 喜瀬 真行, 当真 孝, 呉屋 五十八, 山口 浩, 森山 朝裕, 西田 康太郎
    2026 年50 巻1 号 p. 36-39
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    近年,骨折の連鎖・二次性骨折予防の重要性が報告されている.上肢骨折は若年発生であり,骨折後に骨粗鬆症の評価を行い,治療介入を行うことは重要である.今回,上腕骨近位部骨折(以下,PHF)症例の骨密度(YAM値)を調査した.研究協力施設で加療したPHFの中で,50歳以上,女性,骨密度を測定された100例を対象として後ろ向きに調査した.平均年齢は74.4歳,平均YAM値は,腰椎で77.1%,大腿骨頸部で65.0%,年齢別腰椎は50歳台が82.3%,60―90歳台では70%台であった.大腿骨頸部は80歳台のみ50%台で,残りの年代は60%台であった.骨折型(Neer分類)別では,1-part〜4-part全てでそれぞれ70%台,60%台であった.併発症・二次性骨折別でもそれぞれ70%台,60%台と同様の結果であった.骨密度別症例分布数(腰椎/大腿骨頸部)は,70%未満28/65例,70-79%26/26例,80%以上43/9例であった.本調査では,PHFの70%にYAM70%未満,18例に二次性骨折を認めるため,積極的に骨密度を測定し,治療介入を検討するべきである.

  • 堀家 陽一, 古屋 貫治, 磯崎 雄一, 月橋 一創, 岡田 浩希, 小野寺 洋介, 田村 将希, 阿蘇 卓也, 筒井 廣明, 西中 直也
    2026 年50 巻1 号 p. 40-44
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    肩甲骨関節窩前縁骨折に対する鏡視下修復術は有用とされている.しかし,single-row法では骨片の傾きや回旋による関節面の落ち込みが懸念される.また,double anchor footprint fixation(DAFF)法ではアンカー叩き込みに伴うテンション調整が難しく,過緊張による軟部組織・骨片損傷のリスクが指摘されている.このような課題に対し,twin anchor footprint fixation(TAFF)法は縫合糸の段階的な牽引により過度な緊張を避けつつ骨片を広い面で圧着できる術式として報告されている.しかし,既報は手術手技の紹介が中心であり,術後成績は明らかでない.そこで本研究では,比較的大きな骨片を有する関節窩前縁骨折に対して鏡視下TAFF法を施行した6例を対象に,臨床成績および画像評価を検討した.術後1年時の肩関節可動域は健側と有意差なく,JOA91.0点,Rowe94.2点と良好であった.CTを施行した5例全例で骨癒合を認め,step offは平均2.52mmであった.TAFF法は,本症に対する有用な治療選択肢となる可能性が示唆された.

  • 繁田 明義, 内山 善康, 渡辺 雅彦
    2026 年50 巻1 号 p. 45-50
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    上腕骨近位端骨折の術後成績をMODE® Proximal Humeral Plate(MODE)とA.L.P.S.® Proximal Humerus Plating System(ALPS)で比較した.1年以上の経過観察をしえた36例36肩(男16例,女22例,平均年齢63.1歳)を対象とした.MODE群:27例とALPS群:9例に分け,骨癒合,術後自動可動域,JOA score,頚体角,プレート設置位置を計測した.両群間に年齢,性別で有意差は無かった.全例骨癒合を認めた.両群間に有意差があったのは外旋可動域(45.6±11.1/54.4±6.8度)(p=0.0312) のみであった.頚体角および設置位置は挙上可動域およびJOA scoreと正の相関があり,頚体角の矯正損失とは負の相関をした.MODEとALPSの臨床成績は同等に優れていた.

  • 永井 宏和, 中島 亮, 米田 真悟, 藤原 圭, 城内 泰造, 梅田 康平, 山田 智輝, 岩田 惇史, 今井 晋二
    2026 年50 巻1 号 p. 51-55
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    認知症や低ADL患者を含む高齢者の上腕骨近位端骨折21例(男性2例,女性19例,平均年齢82.8歳)にリバース型人工肩関節置換術(以下RSA)を行った.1年以上経過観察できた15例のうち,認知症で評価不能の1例を除く14例を対象とした.平均経過観察期間は32.3±18.7ヶ月であった.最終経過観察時の自動可動域は屈曲110.7±27.1度,外旋14.6±18.0度,内旋L2±3で,90度以上挙上可能が11例(78.6%)で,JOAスコアは平均84.6±6.3点で概ね良好な結果であった.大結節骨癒合率は71.4%(10/14)で,骨癒合状況による臨床成績の差は検出されなかった.認知症患者や低ADL患者においてもRSAは良好な治療選択肢となり得る.

筋腱疾患
  • 田島 貴文, 辻村 良賢, 宇津 朋生, 鈴木 仁士, 加藤 久佳
    2026 年50 巻1 号 p. 56-59
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    鏡視下腱板修復術において,delamination(層間剥離)は腱板再断裂の危険因子の一つとされている.本研究では,一次修復可能な腱板断裂症例を対象とし,delaminationの有無による治療成績を比較するとともに, delamination症例に対して深層の緊張度に応じてEn masse repairまたはdouble layer repairを選択した治療成績を検討した.当院で鏡視下腱板修復術を施行した67肩(男性48肩,女性19肩,平均年齢64.7歳)を対象とした.評価項目として,断裂サイズ,術前MRIでの脂肪変性,術前および術後の肩関節自動可動域,JOAスコア,Constantスコアを比較検討した.また,術後MRIにより再断裂の有無を評価した.delaminationの有無による術前状態,臨床成績および再断裂率に有意差はなかった.delamination症例における術式別比較でも有意差はなかった.delaminationの存在そのものは術後成績に明らかな影響を与えず,深層の緊張を評価し適切な修復方法を選択することでdelamination症例においても非delamination症例と同等の成績が得られる可能性が示唆された.

  • 真島 裕也, 早川 敬
    2026 年50 巻1 号 p. 60-63
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,大きな腱板断裂に対し,再断裂防止を目的にフットプリントを内方化し低緊張下で縫合した鏡視下腱板修復術(arthroscopic rotator cuff repair:ARCR)の術後筋力への影響を検討した.術後1年時に再断裂がなく,筋脂肪変性が軽度で,筋力評価が可能であった症例を対象とし,内方化群49例(A群)と非内方化群35例(B群)に分類した.肩関節自動可動域(前方挙上および下垂位外旋)ならびに筋力(前方挙上90°および下垂位外旋)について両群間で比較した.その結果,肩関節自動可動域および外旋筋力に有意差はなかったが,前方挙上90°筋力はA群で有意に低値であった(健側比63.5% vs 75.2%, p=0.023).フットプリントを内方化し低緊張で修復した症例では,可動域は維持される一方,術後1年時点における前方挙上筋力が十分に回復していない点には留意する必要がある.

  • 竹原 元司, 四本 忠彦, 神田 拓郎
    2026 年50 巻1 号 p. 64-67
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    鏡視下腱板修復術後(ARCR)の再断裂に対する再手術では, 術式の選択が難しい. 今回我々は, ARCR後の再断裂症例に対する筋前進術併用鏡視下腱板修復術(MA)の治療成績を検討した. 2019年6月から2024年6月に術後再断裂を認め筋前進術併用鏡視下腱板修復術を施行し, 1年以上経過観察できた6例6肩(平均57.0歳)を対象とした. 全例suture bridging法で修復し, 3例でDebeyre-Patte変法, 3例で全鏡視下筋前進術を施行した. MRIにて, 術前の平均GFDI 1.3±0.3, Stump分類はtype1が2肩,type2が2肩,type3が2肩であった. 術後1年の屈曲平均148.3°(術前平均131.7°),外旋平均51.7°(術前平均45.8°)で有意差は認めなかったが,Constant-Murley Score(CMS)は平均73.8点(術前平均46.7点)と有意に改善した. Stump分類type 3に再々断裂を1例に認め, 術後合併症はなかった. CMSにおいて, 疼痛・日常動作・筋力スコアの有意な改善が得られた. MAは残存腱板を再利用でき合併症も少なく, ARCR後再断裂例に対して選択肢となりうると考える.

  • 岩間 彦樹, 髙田 秋人
    2026 年50 巻1 号 p. 68-72
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は,鏡視下腱板修復術(ARCR)におけるスーチャーアンカー(SA)の刺入角度(anchor insertion angle:AIA)と合併症発生率との関連を明らかにすることである.対象はARCRを施行し,術後1年以上フォローが可能であった40例40肩である.術後早期のMRIにてAIAを測定し,術後6か月, 1年のCTおよびMRIにて,SA脱転,perianchor cyst formation(PCF),骨孔拡大,大結節裂離骨折,再断裂の有無を評価した上でAIAとの関連を評価した.平均AIAは66.9°であった.PCFは6肩(15.0%),骨孔拡大は28肩(70.0%),再断裂は7肩(17.5%)に認めたが,SA脱転および大結節裂離骨折は認めなかった.各合併症の有無とAIAとの間に統計学的有意な関連は認めなかった.今後は症例数を増やした多変量解析による検討が必要である.

  • 泉 政寛, 伊藤 恵里子, 野々上 湧人, 古畑 友基, 秋山 隆行, 池邉 智史, 森本 忠嗣
    2026 年50 巻1 号 p. 73-77
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    【目的】鏡視下腱板修復術(以下ARCR)術後再断裂の予測に有用な術前因子を抽出し, スコア化を行うことを目的とした. 【対象と方法】当院で行ったARCR患者のうち術後1年のMRIを評価できた265肩を対象とした. 術後1年のMRIでSugaya type4,5を再断裂群とし, 修復群(206肩), 再断裂群(59肩)の2群にわけ, 患者背景, 断裂サイズ, Delaminationの有無, Stump分類, Global Fatty Degeneration Index(以下GFDI), 大結節部のCT値を比較した. 【結果】単変量解析では, 年齢, 断裂サイズ(横径, 前後径), Delaminationの有無, GFDI, Stump分類type3, CT値が再断裂と有意に関連していた. 多変量解析では, CT値, 横径, Stump type3が独立した予測因子として抽出された. リスクスコアを構築したところAUC(area under the curve:曲線下面積)は0.879と高い識別能を示した. 【考察】本研究で構築したリスクスコアは, 術前の画像所見と基本情報に基づき再断裂リスクを定量的に評価可能であった. 高リスク症例では術後管理の強化や治療戦略の最適化に寄与し,臨床的意義は大きい.

  • 辻 華子, 市川 裕一, 西田 淳, 長谷川 隆将, 山本 謙吾
    2026 年50 巻1 号 p. 78-85
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    腱板断裂に伴う上腕二頭筋長頭腱(LHB)病変の組織学的特徴を調査し,関節鏡所見および身体所見との関連について検討した.2023年1月~2025年4月にLHB病変を伴う腱板断裂に対し関節鏡視下腱板修復術に腱固定術を併用した24肩を対象とした.摘出LHBをHE染色,Alcian blue染色,EVG染色で評価し,Bonar scoreを用いて組織学的変性を定量化し解析した.粘液変性,膠原線維配向異常は全例に認めたが,炎症所見は29.2%と限定的であった.Bonar scoreはDeOrio & Cofield分類(ρ=0.714, P<0.001),Lafosse分類(ρ=0.483, P=0.017)と有意な正の相関を示したが,身体所見との関連は認めなかった.腱板断裂に伴うLHB病変では変性所見と機械的負荷に伴う反応性変化が主体であり,組織学的変性は腱板断裂の進行や関節鏡所見を反映する可能性が示唆された.

  • 藤井 肇, 坂倉 健吾, 佐々木 茂
    2026 年50 巻1 号 p. 86-91
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    ARCR術後再断裂のリスクとして骨密度の低下が報告されており, 骨粗鬆症はARCR術後成績に関与する重要な因子の1つである. しかし, ARCRの術前に骨密度が必ずしも十分には評価されておらず, 簡便な指標が必要である. 上腕骨の骨質を反映するX線指標として, deltoid tuberosity index(DTI), cortical index(CI), cortical thickness(CT)が報告されているが, これまでに腱板再断裂との関連を調査した報告はない. 本研究の目的はARCR術後の再断裂とDTI, CI, CTとの関連を明らかにすることである. ARCRを施行した252肩に対して年齢, 性別, 断裂サイズで傾向スコアマッチングを行った非再断裂群58肩, 再断裂群58肩を対象とした.多変量解析においてDTIのみが再断裂と有意な関連を示し, DTIが術前再断裂予測に有用である可能性が示唆された.

  • 廣瀨 聰明, 芝山 雄二, 杉 憲, 水島 衣美, 冨居 りら, 渡部 裕人, 本間 美由, 石谷 瞭
    2026 年50 巻1 号 p. 92-96
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    拘縮を有する腱板断裂患者に対して麻酔下徒手関節授動術(MUA)または鏡視下関節包解離術(ACR)を行った後に鏡視下腱板修復術(ARCR)を施行した症例の術後臨床成績を経時的に検討した.対象は一次修復可能な腱板断裂に対してARCRを施行し,術後2年以上が経過した91肩である.術中麻酔下での徒手検査の際に拘縮を認める症例に対してはMUAを行った後,ARCRを施行した(M群).しかし,MUAの手技を行ってもどの方向にも可動域の改善がみられない症例に対しては,ACRを行った後にARCRを施行した(CR群).この2群に拘縮のない群(NS群)を加えた3群の臨床成績を経時的に比較検討した.下垂位外旋は,M群とCR群では術後6カ月以降は有意な改善を認めず,術後2年時にはNS群と比べてM群の方が有意に劣っていた.拘縮を認める症例では術後6カ月までの間に下垂位外旋を可能な限り改善するよう努めること,ACRを追加することが望ましいと考えられた.

  • 藤巻 圭太, 今井 洸, 鷹取 直希, 内山 善康
    2026 年50 巻1 号 p. 97-101
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    当院で行った一次修復可能な腱板断裂患者に対する鏡視下腱板修復術(ARCR)の治療成績と再断裂因子を後ろ向きに検討した.2010~2023年に施行したARCR195例のうち,術後2年以上経過観察できた48例53肩を対象とした.術後MRIによるSugaya分類でType I〜IIIを修復群(R群),Type IV・Vを再断裂群(RT群)とした.術前因子として年齢,性別,断裂サイズ,脂肪変性,Stump分類を評価し,臨床成績はJOAスコア,Constantスコア,可動域,外転筋力で検討した.Stump分類Type3はRT群で有意に多く(p=0.0009),多変量解析でも再断裂の独立した危険因子であった(p=0.007).術後のConstantおよび内旋スコアはRT群で有意に低値を示し(p=0.028,p=0.011),再断裂群では疼痛軽減や筋力・可動域の回復が不十分であった.Stump分類Type3は腱断端の組織学的変性を反映し,再断裂および術後機能回復不良と関連する可能性が示唆された.

  • 川上 拡, 畑 幸彦, 石垣 範雄, 小田切 優也
    2026 年50 巻1 号 p. 102-106
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は,広範囲腱板断裂における肩峰骨頭間距離(AHI)の狭小化が腱板部分修復術の術後成績に与える影響を明らかにすることである.当院で広範囲腱板断裂に対し腱板部分修復術を実施した症例を対象とし,術前のAHIの狭小化が著明(5mm以下)であったnarrow群21肩と術前のAHIが正常値(7mm以上)であったnot narrow群86肩の2群間で比較した.評価項目は,患者背景,関節可動域,徒手筋力,JOA score,UCLA score,患者満足度およびMRI評価であった.術前のnarrow群は関節可動域が良好であったが,fatty infiltrationが進行していた.術後は肩関節機能評価や再断裂率に有意差を認めなかったが,narrow群の外転筋力と患者満足度が有意に低かった.術前AHIの評価は,術前のfatty infiltrationの程度と関連し,術後の主観的アウトカムに影響を与えていた.

  • 川真田 純, 福田 昇司, 中井 大輔, 川口 真司, 加納 将嗣, 宮武 克年
    2026 年50 巻1 号 p. 107-110
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    本報告の目的は,肩甲骨位置のGradingと肩関節機能の関連を調査することである.2024年4月~2025年3月に3施設で肩腱板断裂の診断となった症例で,既定のプロトコールで自然立位単純X線写真を施行できた95例である.自然立位単純X線正面像における烏口突起変曲点陰影と肩甲骨上縁の重なりの程度を評価してGrade1;陰影と上縁が重ならない,2;陰影と上縁の重なる範囲が陰影の半分以下,3;重なる範囲が陰影の半分以上と分類し,そのGrade間で臨床成績を調査し,群間比較を行った.それぞれの症例数は,Grade1 31例,Grade2 58例,Grade3 6例となった. 臨床成績では,屈曲可動域(Grade1, 129.8±34.4度;Grade2, 119.2±45.1;Grade3, 61.7±43.7 p=.016),JOA機能スコア(Grade1, 14.9±3.4点;Grade2, 14.5±4.4;Grade3, 8.0±5.4 p=.03),JOA総合スコア(Grade1, 71.4±10.0点;Grade2, 69.0±15.9;Grade3, 55.3±6.7 p=.013)の項目で有意にGrade3の成績が劣っていた.

  • 清本 誠貴, 廣瀬 毅人, 佐原 亘, 岡田 誠司
    2026 年50 巻1 号 p. 111-115
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    腱板断裂に伴う棘下筋萎縮の形態的特徴や進行様式は十分に解明されていない.本研究の目的は,MRIを用いて棘下筋萎縮の局在と進行様式を明らかにすることである.腱板断裂に対し鏡視下修復術またはリバース型人工肩関節置換術を施行した49肩を対象とした.MRI Y viewで棘下筋を四区画(A;前方,S:上方,I:下方,P:後方)に分け,筋萎縮に伴う脂肪化が生じた区画を調査した.棘下筋の筋萎縮は,なし5肩,一区画21肩(全例区画A),二区画9肩(A+S:3肩,A+I:6肩),三区画以上14肩(A+S+I:2肩,A+S+P:1肩,A+I+P:5肩,A+S+I+P:6肩)であり,区画Pのみの萎縮はなかった.棘下筋腱断裂を伴う群では区画Pの萎縮が10/23肩で,伴わない群の2/26肩より有意に多かった(p=0.010).棘下筋萎縮は前方に多く認められ,棘下筋腱断裂を伴う症例では後方区画にも及ぶ分布を呈する傾向が示唆された.

  • 四本 忠彦, 大久保 敦, 神田 拓郎, 竹原 元司, 木田 圭重
    2026 年50 巻1 号 p. 116-119
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    一次修復不能な大・広範囲腱板断裂に対する全鏡視下筋前進術(ARCA)の術後成績と, Stump分類に基づく術後再断裂率を検討した. 術後1年以上経過観察できた, 35名35肩 (平均年齢72.6歳, 平均経過観察期間26.9か月)を対象とした. 術前global fatty degeneration index (GFDI)は平均1.9, 術前Stump分類はType 1が18例, Type 2が9例, Type 3が8例であった. 術後合併症はなく, JOA スコア(術前)は平均92.2点(57.7点)に, 前方挙上(術前)は平均150.0°(81.1°)に, 外旋(術前)は50.3°(31.4°)に, 内旋(術前)はL1.0(L5.0)にそれぞれ有意に改善した, Stump分類別の再断裂率はType 1で5.6%, Type 2で11.1%, Type 3で12.5%であり, 統計学的には有意差は認めなかった. 再断裂率から検討すると, Stump分類Type 3でもARCAは選択肢になりうると考えられた.

  • 勝木 秀治, 岩噌 弘志
    2026 年50 巻1 号 p. 120-124
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,一次修復不能と判断された腱板大断裂・広範囲断裂に対して,大腿筋膜を用いたPatch法を施行した症例における術後早期の再断裂因子を検討したものである.対象は,2014年から2024年にPatch法を施行し,術後6ヶ月以上定期的なリハビリテーションを実施できた32例,32肩(男性25名,女性7名,平均年齢63.4±6.7歳)とした.術後6ヶ月時点のMRI画像をもとにSugaya分類を用いて修復群と再断裂群に分類した上で,年齢,性別,喫煙歴,術後2ヶ月時点の自動屈曲可動域を説明変数としたロジスティック回帰分析および2群間の比較を行った.その結果,術後2ヶ月時点の自動屈曲可動域は再断裂群で有意に大きく,カットオフ値は80度であった.さらに,術後3ヶ月時点でMRI評価が可能であった15例に対しKaplan-Meier法による生存解析を実施したところ,3ヶ月時点で修復が維持されていた症例は,6ヶ月時点でも全例が修復を維持していた.本研究結果から,Patch法術後の経過において,術後2ヶ月時点の自動屈曲可動域が再断裂と関連する可能性が示された.また,術後3ヶ月時点の修復状態がその後の修復維持の指標となり得ることが示唆された.

  • 野本 一希, 桐村 憲吾, 境田 萌人, 畑 佳秀
    2026 年50 巻1 号 p. 125-127
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は肩甲下筋腱(SSC)断裂に伴う肩関節唇損傷の頻度と特徴を明らかにすることである. 2021年9月から2024年7月に肩関節鏡視下手術でSSC断裂を認めた156肩(平均年齢:65歳)を対象とし, 手術動画を解析した. 肩関節唇損傷の有無と形態を評価し, SSC断裂をLafosse分類type1-4に分け, type別の損傷頻度を検討した. 肩関節唇損傷は152肩(97.4%)に認め, 主に上方関節唇(SLAP)損傷 type1またはtype2であった. 関節唇損傷を認めなかった4肩はいずれもLafosse分類type1であり, type2以上の完全断裂では全例に関節唇損傷を合併した. SSC断裂は高率にSLAP損傷を伴うため, SSC断裂症例では上方関節唇の詳細な評価が重要である.

  • 松本 美幸, 中根 康博, 川上 基好, 柏木 孝介
    2026 年50 巻1 号 p. 128-133
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    鏡視下腱板修復術(ARCR)は腱板断裂に対する有効な治療法であり, 良好な成績が報告されている. 一方で再断裂は術後成績を低下させる要因となり, その臨床的特徴を明らかにすることは重要である. 本研究の目的は, ARCR後の腱板修復状態と術後臨床成績との関連を調査し, 再断裂例における臨床的特徴と臨床成績について報告することである. 対象はARCRを施行し12ヶ月以上経過観察可能であった154例160肩とした. 術後3,6,12ヶ月のMRIにて腱の修復状態を確認し, 菅谷分類のType 4, Type 5を再断裂と定義した. 再断裂は160肩中12肩(7.5%)に認め, 83%が 3ヶ月以内に発生していた. 再断裂群と修復群の術後成績では, 外旋, 結帯, 術後12ヶ月のJOA scoreに差を認めた. また, 再断裂群の中で Type 4 はType 5 に比べ臨床成績が良好であった. 再断裂が生じても断裂部を拡大させない後療法や患者教育が必要であると考える.

  • 住元 康彦, 菊川 和彦
    2026 年50 巻1 号 p. 134-137
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    中高年者の一次修復困難な腱板断裂に対して,ほぼ同時期にEx-medialization(E群)もしくは大腿筋膜移植術(F群)を行った17肩の治療成績を検討した.E群7肩,F群10肩で両群の患者背景(年齢,性別),肩甲下筋腱断裂の有無に差はなかった.両群の手術時間,出血量,術後感染,再断裂の有無,術前および最終経過観察時の臨床スコア(自動可動域,筋力,JOAスコア)を比較検討した.手術時間は有意にE群で短かった.出血量および術後感染に有意差を認めなかった.再断裂はE群が0肩で,F群が5肩であり,E群で有意に少なかった.臨床スコアは術前後の内旋可動域のみがE群で有意に劣っており,その他はいずれも有意差を認めなかった.Ex-medializationは大腿筋膜移植術と比較して,手術時間が有意に短く再断裂も認めず,中高年者の一次修復困難な腱板断裂に対する有用な術式と考えられた.

  • 桐村 憲吾, 境田 萌人, 野本 一希, 畑 佳秀
    2026 年50 巻1 号 p. 138-141
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    当院で一次修復困難な棘上筋・棘下筋断裂において棘下筋回転移行術を施行した15肩の再断裂率と再断裂因子を検討した.術前腱板脂肪浸潤(Goutallier分類)は,棘上筋はgrade3以上 12肩,棘下筋もgrade3以上は 12肩であった.術後1年時MRIでの完全再断裂を認めなかった場合を再断裂なし群,認めた場合を再断裂あり群とした.再断裂は4例で再断裂率は26.7%であった.術前平均可動域(再断裂なし群/再断裂あり群)では屈曲(95.0°/151.3°P=0.036),外転(85.0°/141.3° P=0.058)で再断裂あり群が大きい傾向にあった.術前肩峰骨頭間距離(AHI)は再断裂なし群で8.7mm,再断裂あり群で4.4mm(P=0.003)で有意差を認めた.棘下筋回転移行術において良好な術前屈曲・外転角度と術前AHIの狭小化は術後再断裂の危険因子の可能性がある.

炎症疾患
  • 鈴木 仁士, 辻村 良賢, 真野 洋佑, 田島 貴文, 德田 昂太郎, 宇津 朋生, 加藤 久佳
    2026 年50 巻1 号 p. 142-146
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    化膿性肩関節炎に対する持続局所抗菌薬灌流(continuous local antibiotics perfusion: CLAP)導入前後の化膿性肩関節炎の治療成績を比較した. 2018年10月から2025年4月に手術を施行した22例が対象で, 男性19例, 女性3例と有意に男性が多かった. 治療はCLAPなし8例, CLAPあり14例で平均年齢は68.9±15.2 (SD)歳, 術前CRPは10.5±7.6 mg/dLであった. 起炎菌はStaphylococcus属が11例, Streptococcus属が3例, Cutibacterium acnesが2例であった. 術後在院日数はCLAPなし群52.0±54.7日, CLAPあり群37.3±28.9日, 退院時CRPはそれぞれ3.1±4.0 mg/dL と0.56±0.7 mg/dLとCLAPあり群で低値であったが, 本研究では有意差はなくCLAPの優位性を示すには至らなかった.

腫瘍
  • 伊藤 修司, 山本 宗一郎, 山上 信生, 内尾 祐司
    2026 年50 巻1 号 p. 147-150
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は当科で手術を施行した肩関節周囲の骨軟部腫瘍の症例における病理組織学的診断,再発や転移について調査し,その特徴を明らかにすることである.2005年1月から2024年2月までの間に肩関節周囲の骨軟部腫瘍に対して当科で手術を施行した62例(男性26例,女性36例)を対象とした.年齢範囲は7歳から83歳,骨腫瘍が21例,軟部腫瘍が33例,腫瘍類似疾患および炎症性病変が8例であった.骨腫瘍のうち悪性腫瘍は6例(29%)で,1例が原発性骨腫瘍であった.骨腫瘍で最多は骨軟骨腫で8例であった.軟部腫瘍のうち悪性腫瘍は2例(6%)であった.軟部腫瘍で最多は脂肪腫で23例であった.脂肪腫の1例で局所再発を生じた.また,肩甲骨に生じた軟骨肉腫の1例で肺転移を生じた.本研究結果から肩関節周囲に生じる骨軟部腫瘍の多くは良性だが,悪性腫瘍も散見された.肩関節の診療を行う上で,悪性腫瘍にも注意を要する.

その他
  • 髙橋 大地, 永田 義彦, 根木 宏, 田中 碩
    2026 年50 巻1 号 p. 151-155
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    非観血的肩関節授動術前後のPain Catastrophizing Scale(PCS)とJOA scoreの関連を調べた. 肩関節拘縮に伝達麻酔下に非観血的関節授動術を行い, 術前および術後3, 6か月でJOA score とPCSを評価した27人27肩を対象とした. 術前PCSスコアが30点以上の破局的思考群(C群: 13人13肩)と30点未満の非破局的思考群(N群:14人14肩)の2群に分類し検討を行った. JOA scoreの合計は術前, 術後3か月でC群がN群よりも有意に低値だった. 術前のJOA scoreの機能はC群で有意に低値であり, 術前の肩関節機能低下と破局的思考が関連する可能性が示された. 各時期のPCSはN群よりC群で有意に高値だった. PCSはN群で経時的に改善し, C群は術前から術後3か月で有意に改善したが, 術後3か月から6か月で有意な変化はなかった. またPCSが30点以上の患者数は術後に有意に減少した. 術前の破局的思考が強い患者も術後にPCSは改善するが, 改善に時間がかかる可能性がある.

  • 根木 宏, 永田 義彦, 高橋 大地, 田中 碩, 望月 由
    2026 年50 巻1 号 p. 156-159
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,慢性腎不全(CKD)が肩関節拘縮(SS)に対する非観血的授動術(MUA)の治療成績へ及ぼす影響を検討した.MUAを行った94例101肩を対象とし,CKD診療ガイドラインに基づきCKDのないN群74肩とCKD群27肩に分類した.JOA scoreおよび自動・他動可動域(屈曲・外転・外旋・内旋)を術前,術後3か月,1年で評価した.N群ではJOA scoreと全可動域が術前から3か月,3か月から1年で有意に改善した.CKD群も自動外旋を除き同様の改善を示したが,自動外旋は術前から3か月で有意差を認めなかった.群間比較では,術前の自動・他動外旋はN群がCKD群より低値であり,術後3か月の自動・他動屈曲および外転はCKD群がN群より低値であった.CKD患者に対するMUAは術前と比較して良好な改善を示すが,非CKD患者と比べ術後短期の可動域改善が不良となる可能性が示唆された.

  • 月橋 一創, 磯崎 雄一, 古屋 貫治, 堀家 陽一, 岡田 浩希, 小野寺 洋介, 松久 孝行, 筒井 廣明, 西中 直也
    2026 年50 巻1 号 p. 160-163
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    肩峰下インピンジメント症候群は中高年からスポーツ活動層まで幅広く発生しうる肩関節疾患であり,外転挙上時の疼痛が特徴的である.近年では鏡視下肩峰下除圧術(arthroscopic subacromial decompression, 以下ASD)が広く行われているが,その有効性について議論が続いている.3-6か月程度の保存療法後に手術を施行した大規模ランダム化比較試験では,ASDの優位性が示されていない.一方で,症状が長期化し関節外軟部組織の柔軟性低下や疼痛による可動域制限を伴う症例,あるいは肩甲帯機能が十分改善しない症例が実臨床では存在している.そこで我々はそのような症例にASDが臨床的に一定の有用性を持つ可能性を考えている.本研究では1年以上の保存療法後にも症状改善が得られずASDを施行した17例を対象とし,術前外転可動域が術後成績に与える影響を明らかにした.術前外転120°以下の群は,術後は120°超群と同等の成績を示し,術前外転角度は本研究の範囲では明確な予測因子とは示されなかったが,長期間保存加療抵抗例ではASDが有益である可能性が示唆された.

治療法
  • 大前 博路
    2026 年50 巻1 号 p. 164-168
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    10度の楔型の移植骨を用いて関節窩への骨移植を行ったリバース型人工肩関節全置換術の術後成績を評価した.同一機種を用いた24肩を対象とした.術前の関節窩の上方傾斜は5.0±4.8(SD)度,後捻は7.9±4.9(SD)度であった.ナビゲーションを用いて上方傾斜0度,後捻は±5度以内を目標にベースプレートを設置した.術後1年時の肩関節自動可動域は屈曲,外転で有意に改善したが,外旋と内旋は有意差がなかった.ConstantスコアとUCLAスコアの総合点,患者立脚肩関節評価法Shoulder 36 V.1.3の各ドメインは有意に改善した.術後X線画像で計測したベースプレートの上方傾斜は0.5±2.0(SD)度であった.2肩に肩峰骨折を生じた.回旋可動域の改善や,肩峰骨折を生じる要因について検討していく必要があると思われた.

  • 領木 勇人, 高橋 憲正, 松木 圭介, 川島 至, 松葉 友幸, 上條 秀樹, 玉置 大恵, 石井 大輔, 原口 亮, 赤嶺 尚里
    2026 年50 巻1 号 p. 169-173
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    リバース型人工肩関節置換術(rTSA)後の自動屈曲可動域獲得に影響する因子を検討した.2019年10月から2024年3月に単一インプラントで初回rTSAを施行し,1年以上経過観察し得た38例40肩を対象とした.術後X線で回転中心肩峰距離(DA),回転中心大結節距離(DGT),両者の比(DA/DGT)を測定した.術後1年時の自動屈曲角度がPatient Acceptable Symptom State (PASS)の124.1°以上を屈曲良好群,未満を不良群とし,両群間で背景因子,術前後可動域,画像所見を比較した.術後1年時屈曲・外旋角度は良好群で有意に大きかった(140.0±9.2°vs 102.9±21.4°, P<0.001; 26.3±13.2°vs 17.4±8.0°, P=0.014).背景因子,各距離に差はなかったが,DA/DGTは良好群で有意に大きかった(1.09±0.08 vs 0.99±0.16, P=0.022).DA/DGTが大きいことが肩峰と大結節のインピンジメントを回避し良好な屈曲獲得に寄与し,DAを大きくDGTを小さくするインプラント設置が有効である可能性がある.

  • 永井 真優, 落合 信靖, 橋本 瑛子, 寺川 文英, 澤田 良平, 山川 奈々子, 山田 有徳, 吉村 眞
    2026 年50 巻1 号 p. 174-179
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    高度関節窩変形症例に対しカスタムメイドインプラントであるVault Reconstruction System(VRS)を用いてリバース型人工肩関節全置換術(RSA)を施行した5例5肩を対象に臨床成績を検討した.関節リウマチ4肩,陳旧性前方脱臼1肩で,基礎疾患に糖尿病2肩,維持透析1肩認めた.術前後で,可動域は前方挙上46から132度,外旋6から31度,結帯臀部からL2レベル,JOAスコアは44.1から84.5点に有意に改善した.3D補正CTによる設置評価は,冠状断の傾斜の絶対値が15から6.7度,軸位断の前後捻の絶対値が20.9から2.6度へ有意に補正され正確な設置が得られた.術中上腕骨骨折を2例認めたが保存療法で骨癒合を得た.インプラントのゆるみや感染はなかった.VRSは高度変形症例に対するRSAの新しい治療選択肢となり得るが,原因疾患を背景とした合併症に十分注意し,費用面や準備期間などの短所を理解した上で慎重な症例選択と長期経過観察が必要である.

  • 染村 嵩, 嶋田 洋平, 見上 豪
    2026 年50 巻1 号 p. 180-183
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    リバース型人工肩関節置換術(reverse shoulder arthroplasty:RSA)における人工関節周囲感染(periprosthetic joint infection:PJI)のリスク因子を明らかにすることを目的として,2022年から2024年に当院で施行されたRSA 75例(平均年齢76±7歳,男性26例,女性49例,平均観察期間18±9カ月,全例において観察期間は12カ月以上)を対象に,後ろ向きコホート研究を行った.原疾患は腱板断裂性関節症34例,広範囲腱板断裂16例,一次性変形性関節症10例,上腕骨近位部骨折10例,関節リウマチ5例であった.フォローアップ期間中にPJIを発症したか否かで2群に分類し,年齢,性別,原疾患,糖尿病,ステロイド使用,BMI,喫煙歴,輸血歴,術前CRP値,抗凝固薬使用,手術時間,肩関節の手術歴について解析した.統計解析では,連続変数にはStudent's t検定を用い,カテゴリ変数にはFisherの正確確率検定を用いた.PJIは5例(6.7%)に発生し,全例が骨折を原疾患とするRSAであった.骨折(p=0.01)および手術時間の延長(p=0.04)が有意に関連した.骨折RSAは非骨折症例に比べPJI発症リスクとの関連が示唆され,骨折例では術前のリスク評価と感染予防対策をより慎重に行う必要がある.

  • 長谷川 裕樹, 平川 義弘, 高橋 佑生, 井川 敦志, 谷口 聡, 永澤 迅, 伊藤 陽一, 中澤 克優, 小倉 亜弥子, 間中 智哉
    2026 年50 巻1 号 p. 184-188
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は,リバース型人工肩関節置換術(Reverse shoulder arthroplasty, 以下RSA)後の日常生活動作(Activities of daily living,以下ADL)スコアの経時的変化を明らかにし,さらに術後1年時点のADLスコアに関連する因子を検討することである.対象はRSAを施行し,術前,術後3カ月,6カ月,1年,2年の評価が可能であった162例162肩とした.評価項目はADLスコア,肩関節可動域,疼痛,外転筋力とした.ADLスコアの経時的変化はFriedman検定,関連因子の検討は重回帰分析で解析した.ADLスコアは術後3カ月から有意に改善し,1年でプラトーに達した.重回帰分析の結果,術後1年時点のADLスコアに屈曲可動域,疼痛,性別が有意に関連していた.以上より,RSA後のADL改善は主に術後1年までに認められ,屈曲可動域の獲得と疼痛管理がADL向上に寄与する可能性が示唆された.

  • 新井 隆三
    2026 年50 巻1 号 p. 189-192
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    肩関節鏡手術において後方ポータルから肩甲上腕関節へ関節鏡を挿入するのが困難である症例を調査・考察した.肩関節鏡視下手術107自験例のうち,17例(16%)で挿入困難が生じた.その理由(重複該当あり)は,関節唇が肥厚や著明な滑膜増生を伴っていたこと(10例),関節包が固いか弾力に富んでいたこと (8例),単純に肩甲上腕関節が硬いこと(12例),などであった.後方鏡視を遂行するためには,肩峰下腔の郭清(6例),腱板断裂部のトリミングと関節包の剥離(3例),前方鏡視下での後方ポータル作成(8例)が有効であった.肩関節鏡後方ポータル挿入困難には複合的な要因があり,肩峰下の郭清や腱板断端のトリミングは軟部組織の緊張を低下させ挿入を容易にすると思われる.肩峰下腔鏡視にて前方ポータルを作成する時には肩甲下筋上縁の同定が重要で,腱板疎部郭清時の周囲組織損傷に注意が必要である.

  • 川田 和正, 日山 鐘浩, 野呂瀬 美生, 藤原 鷹, 高木 啓成, 森川 ゆみ, 望月 智之
    2026 年50 巻1 号 p. 193-197
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル 認証あり

    当院では再断裂への対策として腱板のfootprintを5mm程度内方化し鏡視下腱板修復術(ARCR)を施行している.本検討の目的は当院で施行された小中断裂に対するARCRにおいて内方化の有無による術後1年での臨床成績を検討することである.当院で施行された中断裂以下の初回ARCR 160 肩を対象として内方化を施行した群40肩と施行なし群120肩に分け検討を行った.術後1年時の成績は患者立脚型評価としてDASHとShoulder 36,他覚的評価として術後自動ROM(屈曲,外転,下垂位外旋),画像評価としてMRIでのSugaya分類と再断裂率を評価検討した.術後1年時の再断裂は内方化群において2肩(5.0%),内方化なし群9肩(7.5%)で有意な差を認めなかった.また術後1年時のSugaya分類,術後ROM,患者立脚型評価に有意な差を認めなかった.小中断裂に対するARCRにおいて,約5mmの内方化は術後1年の臨床成績に明らかな影響を認めなかった.

症例報告
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