2014 年 38 巻 3 号 p. 775-778
上腕骨近位端骨折で内固定材の固定性や,腱板断裂で上腕骨大結節のアンカーを刺入する場合,骨質の変化が結果に影響を与える.我々は骨密度(BMD)とCT値を測定し,上腕骨頭の領域別による骨質の差を検討した.
症例は9例,平均年齢66歳.BMDは1cm2 関心領域を作り内側(1),上方(2),中央(3),外科頚(4),大結節(5)の測定を行った.CT値は領域を50mm2 として,領域別平均CT値を測定し,骨頭前方と後方の比較も行った.
BMD値は,領域2と4,5に有意差を認めた.CT値は領域1と3,4,5,領域2と3,4,5,領域3と4,領域4と5に有意差を認めた.骨頭前方と後方では有意差を認めたが,領域別では有意差を認めなかった.しかし大結節部のみ前方のCT値が高い傾向にあった.この結果より骨折で内固定材は後方軟骨下骨が固定性が優れ,腱板断裂で大結節にアンカー刺入部は前方が安全であると考えられた.