抄録
広範囲腱板断裂及び高度の前方不安定性を有する高齢者の肩関節脱臼には整復困難例が散見される.これらの症例に対し一期的にReverse型人工肩関節置換術(以下RSA)を施行した2例を報告する.
症例1: 87歳 女性
左肩関節前方脱臼受傷2週後に当院を受診.麻酔下でも整復位の保持が困難であった.Xp,CT所見で骨頭の前方脱臼及びHill-Sachs病変を認め,MRI所見で腱板広範囲断裂を認めた.RSAを施行し,術後11カ月で疼痛なく前方不安定性を認めない.
症例2: 77歳 女性
受傷起点が不明の左肩関節前方脱臼.来院時に徒手整復を試みるも整復不能であった.Xp,CT所見で骨頭の前方脱臼,Hill-Sachs病変及び,関節窩骨折を認め,MRI所見で腱板広範囲断裂を認めた.RSAを施行し,術後6カ月で疼痛なく前方不安定性を認めない.
腱板機能の消失を伴う変形性肩関節症に対してRSAが有効であることは知られているが,さらに高度の前方不安定性の加わった症例にもRSAは高い拘束性があり有効であると思われた.