2017 年 41 巻 2 号 p. 397-402
肩関節内の上腕二頭筋腱長頭(long head of biceps tendon;LHBT)は位相の変化とpulley形成により,従来のMRIでは評価困難であった.本研究ではLHBTの走行に垂直な断面を設定したbiceps-radialMRIによるLHBT 病変評価法の有用性を検討した.肩関節鏡視下手術を施行した57例57肩を対象に,術前MRI所見と術中関節鏡所見でpulleyおよびLHBT病変を評価し,感度,特異度を検討した.pulley病変は感度100%,特異度90.9%であり,LHBT病変は腱症で感度100%,特異度88.9%,不安定症で感度95.6%,特異度91.4%であった.本研究で,biceps-radialMRIはpulleyおよびLHBTが良好に描出できたため,従来の方法に比べて正確性が高まり,術前画像診断に有効と考えた.