肩関節
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脱臼
明らかな脱臼・亜脱臼の自覚がない外傷性肩前方不安定症の検討
吉武 新悟中溝 寛之
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2017 年 41 巻 2 号 p. 403-405

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抄録

 脱臼・亜脱臼の自覚がない外傷性肩前方不安定症(以下前方不安定症)の術前の臨床症状,理学所見,術前3DCTによる骨形態,術中鏡視所見,術後成績として日本肩関節学会肩関節不安定症評価法(以下JSS-SIS)について検討した.対象は鏡視下Bankart修復術を施行し術後1年以上経過観察できた前方不安定症患者のうち,受傷時に脱臼・亜脱臼の自覚がなかった14名14肩である.内訳は男9肩,女5肩、平均年齢16.6(14~21)歳,平均観察期間は13.6(12~24)ヵ月であった.術前主訴は全例肩運動時痛であった.またanterior apprehension testで疼痛が誘発されrelocation testでその疼痛が軽減した.関節窩骨欠損率は平均2.6%,Hill-Sachs内側縁は腱板付着部から平均5.5mmであり,脱臼・亜脱臼の自覚がない前方不安定症患者の骨欠損は小さい傾向にあった.鏡視では全例で関節唇の損傷を認めた.JSS-SISは術後有意に改善した.不安定感がなくともrelocation testで疼痛が軽減する場合には前方不安定症の存在に留意して検査を行うべきである.

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© 2017 日本肩関節学会
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