抄録
外傷後に発症した肩後方不安定症の臨床症状や術中所見について検討した.対象は外傷後に発症した肩後方不安定症に対して関節鏡手術を施行し,術後1年以上経過観察できた23例24肩で内訳は男性16例17肩,女性7例7肩であり平均年齢20.2(15~43)歳,観察期間は19.0(12~44)ヵ月であった.手術は21肩に後方Bankart修復術を,3肩に関節包縫縮術を施行した.検討項目は術前の臨床症状,理学所見,鏡視所見による損傷形態,JSS-SISによる術前後の評価である.17肩は挙上時痛が主体で,後方Load & shift test,Kim testで疼痛を伴うものが18肩であった.鏡視所見は,18肩は後下方から後上方関節唇の剥離,2肩はSLAPを合併し4肩は関節唇損傷なしであった.JSS-SISは術前62.3点から術後90.1点に有意に改善した(p < 0.05).関節包縫縮術の2肩に術後再発を認めた.外傷後の肩後方不安定症では疼痛が主症状であり後方Lord & shift testやKim testで疼痛を訴える場合には後方Bankart損傷を疑うべきであると考えられた.