火山
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論説
巨大噴火に先行する噴火活動の地質記録─クッタラカルデラ火山,クッタラ-早来テフラの近傍堆積物─
三浦 大助𠮷中 耕太竹内 晋吾上澤 真平
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2022 年 67 巻 3 号 p. 273-294

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抄録

火山災害の軽減において,破局的珪長質噴火の前兆期を認定し,その特徴を知ることは学術的に重要である.前兆現象が出現し,後に続く大規模噴火と関連する場合に,どのようなタイプの前兆現象が起こるのかは非常に興味深い.テフラ堆積物のシーケンスは,前兆期から大規模噴火までの貴重な記録と考えられることから,クッタラカルデラ火山のクッタラ-早来テフラ(Kt-Hy)を対象として,現地地質調査,粒度分析,XRF分析,EPMA分析により,その噴火推移を調べた.

59-55 kaのKt-Hy噴火は,近傍相において初期のサブプリニー式噴火(LpfaおよびLpdc),その後のマグマ水蒸気噴火(MpdcおよびUpdc)までのシーケンスが記録されている.Lpdc-Mpdcユニットは,谷埋め型の火砕物密度流堆積物である.その後,発泡度の低い珪長質マグマが,希薄な火砕物密度流として広く拡がった(Updc).これらの噴火シーケンスの変化と堆積相の詳細な解釈に基づき,MpdcとUpdcの給源火口は,各々成層火山の南麓と現在の山頂カルデラ周辺と推定された.

クッタラカルデラ火山では,成層火山体の形成時期について,議論があった.本研究による近傍-遠方堆積相と,移動する火口位置の証拠から,成層火山がKt-Hy期にも成長したことが示唆された.成層火山を含めたKt-Hy噴出物の推定総噴出量は,最大で7-8 km3 DREとなる.Kt-Hy噴火は,火口の移動とマグマ水蒸気噴火で特徴づけられ,円錐の成層火山体で,カルデラを伴うタイプにおける前兆期の特徴とよく一致している.Kt-Hy噴火に続く54 kaの大規模珪長質噴火(Kt-3)には,岩石学的な類似性がみられ,これらのことから,大規模珪長質マグマの早期貯留の可能性が示唆された.

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© 2022 特定非営利活動法人日本火山学会
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