2024 年 43 巻 2 号 p. 107-112
チロシン誘導体モノマーであるメタクリロイルチロシンアミドは歯質接着性に優れ,デンチンプライマーやセルフエッチングプライマーの成分としても有効であった.また,水溶性光増感剤を導入した新規親水性ワンステップ接着材も開発した.
チタンインプラントの表面改質として,分子プレカーサー法によるアパタイト薄膜コーティング,トレシルクロリド法による細胞接着タンパク質の固定化を行い,良好な骨形成能を得ることができた.ナノ秒パルスレーザ加工やコラーゲンナノファイバー被覆などによる軟組織付着の向上についても評価し,インプラント体に対して垂直に配向する軟組織コラーゲンファイバーの存在を確認できた.ジルコニアインプラントに対する軟組織付着についても検討した.分子プレカーサー法もトレシルクロリド法も,大掛かりな装置や特殊なテクニックを必要とせず,簡便でかつ経済的な表面改質手法であり,今後の発展が期待できる.