日本作物学会九州支部会報
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秋作普通栽培における温暖化対応のための暖地バレイショ品種・系統の検討
松尾 祐輝 渡邊 亘森 一幸坂本 悠中尾 敬
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2018 年 84 巻 p. 31-35

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抄録

バレイショ秋作普通栽培において,温暖化により植付け時期の気温は従来より高温となってきており,地温上昇に伴って種いもの腐敗による欠株や青枯病のリスクが高くなっている.そこで,高温条件での生育に適する品種・系統の検討を行うため,適期植付けより高温となる8月下旬に植付けし,品種・系統の違いによる生育・収量性・でん粉価について調査を行った.試験の結果,供試した品種・系統で「西海38号」および「ながさき黄金」は高温時の植付けに適していることが示唆された.「西海38号」は,標準品種「ニシユタカ」と比較し,高温条件下での出芽期が早く,生育日数を長く確保でき,でん粉価がやや高く,収量性に優れる.ただし,青枯病には弱い.「ながさき黄金」は,標準品種「ニシユタカ」と比較し,高温条件下での出芽期が早く,生育日数を長く確保でき,でん粉価が高く,青枯病に強い.ただし,茎長がやや長く,上いもの平均重が小さい.秋作普通栽培において「西海38号」および「ながさき黄金」は有望であり,今後それぞれの特性を考慮して交配に利用し,温暖化に対応する品種開発に取り組む.

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