抄録
「べにはるか」は,粘質系で糖度が高く消費者の人気が高いため,一年を通しての出荷希望があるものの,高品質の
いもを長期出荷するための知見がなく,長期貯蔵・長期出荷するための栽培技術,貯蔵技術の開発が求められている.このため,長期間にわたり出荷可能な新たな手法として株収穫および株貯蔵について検討した.収穫後の処理は,従来の収穫時に塊根を切り離す方法を慣行区,株の状態で収穫して塊根を切り離さなず一定期間貯蔵する方法を株貯蔵区とした.慣行区では,作型によって異なるものの貯蔵中に塊根の萌芽が認められたが,株貯蔵区では萌芽が抑制された.一方,腐敗については,慣行区に比べ株貯蔵区の腐敗率が高く,株貯蔵期間が長くなるに伴い増加した.収穫後のブリックスは貯蔵により上昇するが,その程度は,収穫後の処理と貯蔵期間の違いおよび作型により異なった.収穫後の処理の違いでは,株貯蔵区のブリックスの上昇程度が高く,作型では,早い収穫時期に比べ遅い収穫時期でブリックスの上昇程度が高かった.また,肉質の粘質化もブリックスの推移と同様の傾向であった.