1983 年 37 巻 4 号 p. 772-784
下顎前突症に対する下顎後退術は, 一般に下顎骨体部のostectomyと下顎枝のosteotomyに大別され, 現在では下顎枝のosteotomy, なかでも矢状分割法が広く行われている.私達は1975年以来, 下顎骨体部のostectomy, 特にDingman法を一部改良した階段状下顎骨体切除短縮術(Stepostectomy of the mandible)を行っているが, 他の手術法と比較しても遜色なく, open bite合併症に対しても非常に有効でMasui(1983)らの報告でもrelapseは極めて少なく, 非常に秀れた手術法であると考えられる.尚, 本法を施行するにあたり私達は次の事項に留意している.1) 便宜抜去に選定する歯牙は, 可及的保存不能または保存困難歯とする.2) 下顎管に対する配慮として, 骨切除部と下顎管が重複ないしは交錯しない様に骨切除線の設定を行う.3) 顔面に手術痕を残さないために, 口内法による手術を行う.以上, 現在私達が行っている下顎前突症に対する外科的矯正法, 特にstepostectomy of the mandibleの手術々式の概要を報告した.