九州歯科学会雑誌
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中国人の上顎前歯における唇側エナメル質の厚さ
陳 克恭林 偉傑大木 達雄石 四箴寺下 正道
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2002 年 56 巻 6 号 p. 229-235

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抄録

中国人に対するポーセレン・ラミネートベニア修復の支台歯形成の基準を決めるため, 中華人民共和国上海地区で集めた中国人上顎中切歯, 側切歯および犬歯の唇側エナメル質の厚さを測定し, エナメル質の削除量の目安を求めた.中切歯におけるエナメル質の削除量は日本人の目安と同じく歯頸側マージン部から最大豊隆部までを0.3 mmとし, 中央部から切縁までを0.5 mmとしてよい.しかし, 側切歯と犬歯における歯頸部のエナメル質の厚さは日本人よりばらつきが大きく, 削除量の許容範囲を0.25 mmに設定したほうが象牙質露出の危険性が避けられると思われる.中切歯, 側切歯, 犬歯ともに近心側エナメル質の厚さと唇側同位置のものとの間に有意な正の相関が認められたことから, 唇側エナメル質の削除量はレントゲン写真で判断される近心側エナメル質の厚さから予測することが可能である.

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© 2002 九州歯科学会
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