九州歯科学会雑誌
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Substance Pはヒト単球から破骨細胞への分化を促進する
福原 栄司後藤 哲哉又吉 誉章小林 繁高橋 哲
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2005 年 59 巻 2 号 p. 53-60

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抄録

破骨細胞は単球/マクロファージ系の血液幹細胞から形成される多核の巨細胞で骨を吸収する.破骨細胞の前駆細胞はreceptor activator of neuclear factor kappa B (RANK)を持ち,マクロファージコロニー刺激因子(macrophage colony stimulating factor ; M-CSF)の存在下でRANK ligand (RANKL)を認識し破骨細胞へと分化する.この研究の目的はRANKLとM-CSFの存在下でヒト末梢血単球(peripheral blood monocytes ; PBMC)から破骨細胞への形成過程で神経ペプチドSubstance P (SP)がどのように影響するのかを調べることである.NK_1-Rに対する特異抗体を用いた免疫蛍光染色により,PBMCには小さな斑点状にNK_1-Rの局在が示された.10%の牛胎仔血清および1,25(OH)_2D_3,M-CSF,RANKLを含む培養液でPBMCを培養すると2週間で単核のTRAP(+)細胞ならびに破骨細胞であるTRAP(+)多核細胞を形成した.10^<-10>〜10^<-8>M SP添加により単核のTRAP(+)細胞ならびにTRAP(+)多核細胞数の増加が認められた.このSPによる単核のTRAP(+)細胞ならびにTRAP(+)多核細胞数の増加はSPアンタゴニストであるspantideならびにNK_1-RアンタゴニストであるFK224の添加により抑制された.これらの結果によりNK_1-Rを介してSPはPBMCからのTRAP陽性単核細胞(破骨細胞前駆細胞)の形成を促進し,TRAP陽性多核細胞である破骨細胞の形成を促進することが示唆された.

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© 2005 九州歯科学会
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