2005 年 59 巻 2 号 p. 80-85
66歳,男性の右側舌に発現した腺様扁平上皮癌について,病理組織学的ならびに免疫組織化学的研究な検討を行った.病理組織学的には,細胞間橋,角化や扁平上皮の増殖を示さない立方形の腫瘍細胞が腺管様構造を呈していた.また,アルシアンブル-(AB)染色,ムチカルミン(MC)染色,PAS染色にそれぞれ陰性であった.さらに,免疫組織化学的には,腫瘍細胞はサイトケラチン(CK),ビメンチン(VM)に陽性であったが,上皮膜抗原(EMA)や第VIII(FVIII)には陰性であった.以上のことから,本腫瘍は扁平上皮癌細胞の変性と棘融解によって生じたものと思われた.