九州歯科学会雑誌
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原著
歯学部学生の学習施設環境満足度の変化:新本館棟竣工の効果
高田 豊豊野 孝稲永 清敏荒井 秋晴後藤 哲哉西原 達次
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キーワード: 学習環境, 学生, 満足度, 教育, 施設
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2008 年 62 巻 3.4 号 p. 91-99

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抄録

本学学習環境における学部学生の満足度への新本館の効果を知るため,学部学生を対象にして新本館利用直前の平成19年4月2・3日(平成18年度調査)と利用7から10か月の平成19年11月と平成20年2月(平成19年度調査)に同じ21項目のアンケート調査を行った.平成19年度は平成18年度に比べ,「図書館学習環境」,「図書館学術雑誌」,「図書館視聴覚資料」,「図書館電子ジャーナル」,「コンピュータ演習室」,「ネットワーク」,「パソコン」,「実習室」,「教室施設・設備」の満足度は有意に改善したが,同じ新本館の中に設置された「図書館図書」,「ホームページ」,「自習室」,「講義室」,「ロッカールーム」,「自主学習環境」の満足度は改善せず,大学全体の学習環境満足度にも変化がなかった.また,新本館と関連しないグラウンドの満足度は低下し,体育館満足度は低下傾向であった.学習環境満足度改善は女性で11項目もあったのに比し男性では4項目しか改善しておらず,今回の新本館の新施設設備は男性よりも女性の満足度改善に寄与していた.学習環境とは別に調査した教育関連満足度調査では有意に教育全体の満足度が低下しており,学習環境改善は必ずしも教育満足度改善とは結び付かないことが分かった.教育関連の満足度改善は今後検討すべき重要な問題点と考えられる.また,施設設備が新設したにもかかわらず学生満足度が改善されなかった「自習室」,「講義室」,「ロッカールーム」,「自主学習環境」についてはその原因を解明し満足度上昇のための方策を実践することが必要である.

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© 2008 九州歯科学会
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