抄録
脂肪組織はアディポカインとよばれる生理活性物質を産生するが,脂肪を蓄積して肥大すると,TNF‒αやIL‒6 などの炎症性アディポカインの分泌が向上することから,肥満状態は軽度の慢性炎症状態と認識されている.一方,ア ディポカインのうち体格指数と逆相関を示し,肥満状態で減少するアディポネクチンが知られており,臨床的にはア ディポネクチンの血中濃度の低下とメタボリックシンドローム,循環器疾患,2 型糖尿病等の発症との間に相関が認められる.動物実験でアディポネクチンを投与するとインスリン抵抗性や炎症反応が改善されることから長寿ホルモ ンとして紹介されることも多く,代謝異常に起因する疾病の治療・予防への応用も期待されている.本稿では,アディポネクチンのエネルギー代謝系に果たす役割とともに,免疫機能,特にマクロファージの機能に与える影響について 概説する.