歯科衛生士は口腔の疾患の予防や健康の維持を通して，国民の健全な生活を支援する重要な役割を担っている．こ の対象者中心の活動において，歯科医療関係者だけでなく，あらゆる医療・保健分野の職種と協働するために，情報 の共有を必要とする． 医療において患者の疾患に絡む種々の問題にも注視する問題志向型システム（Problem oriented system : POS）が推奨されている．これは，物事を論理的・科学的に解決に導くための方法で“患者モデル”を枠組みとするシステムで ある．この方式による記録が問題志向型診療記録（Problem oriented medical record : POMR）であり，医学の分野では広く採用されている． POMRを範例に，歯科医師のための問題志向型歯科診療記録（Problem oriented dental record : PODR）を考案・報 告（第1報）した．多職種で患者に対応する医療において，情報共有のために職種間の記録様式の統一が必要である． 今回は，歯科衛生士の記録として，問題志向型歯科衛生業務記録（Problem oriented dental-hygiene care record : POHR）を考案したので報告する． 主な点は，構成を基礎情報，問題リスト，初期DH計画，介入（DH記録），要約とし，PODRと整合させた．また，問題領域をPODRの3領域に「健康に対する認識と行動」を追加し，経過記録をSOAPI(E)とした． POHRはPOS方式で整理されており，患者の口腔の状態や歯科衛生士の解釈や方針が，他の医療者から見ても分かり 易い記録となる． 歯科衛生士がPOHRを採用することによって，歯科医療への歯科衛生士の効果的，効率的な参加に繋がる．PODR と共にPOHRは歯科医療チームの共有記録媒体となる．
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