抄録
歯学教育において教育改善を効率よく進めるためには,修学状況および成績に影響を及ぼす学生の資質などの因子を解析することが,重要であると考えられる.そこで,本研究では九州歯科大学 口腔保健学科3年次生を対象として,「思考力」,「姿勢・態度」,「経験」の資質について関連した項目をアセスメントテストGPS-Academicを用いて測定した.さらに,これらの測定項目と,出席率および年度Grade Point Average(GPA)との相関関係を調べた.
「姿勢・態度」については,レジリエンス,リーダーシップ,コラボレーションの各項目としてスコアの測定を行った.「経験」については経験総合,およびその関連項目として自己管理,対人関係,計画・実行の各項目の達成度の測定を行った.思考力,レジリエンス,リーダーシップ,コラボレーションおよび経験総合と,出席率または年度GPA間の相関関係を調べた結果,経験総合と出席率間と,リーダーシップと年度GPA間で正の相関関係が認められた.さらに,「経験」に関連した,自己管理,対人関係,計画・実行の項目と,出席率間における相関関係を調べた結果,計画・実行と出席率間に正の相関関係が認められた.
今回の研究により,口腔保健学科3年次生が有する資質において経験総合,およびその関連項目である計画・実行が,出席率に影響を及ぼす因子の一つであることが明らかになった.