抄録
嚥下障害患者の誤嚥性肺炎予防と嚥下機能維持・向上
において,口腔健康管理(Oral health care)は単なる「口
腔内の細菌数減少を目的とした清掃行為」を超えた役割
を担っていると考えられるようになってきた.本総説で
は,口腔ケアを「摂食嚥下リハビリテーション(dysphagia
rehabilitation)」の一環と位置づけ,口腔内への刺激に
よる口腔周囲筋の活性化,唾液分泌促進,サブスタンス
P放出,脳覚醒度向上など多面的なメカニズムとその臨
床的意義を論じる.また,周術期管理や人生の最終段階
における医療の場面において,口腔ケアが合併症の予防
や経口摂取の可能性を高め,QOL向上にも寄与し得るこ
とについて言及する.さらに,多職種連携による栄養管理や嚥下訓練と統合しながら口腔ケアを包括的に活用す
る重要性についても議論を深める.このような,総合的
視点が,摂食嚥下障害の長期管理において安全な食事摂
取と誤嚥予防,さらには,リハビリテーション効果の最
大化につながる基盤になると考えられる.