2020 年 19 巻 1 号 p. 1-8
背景:超音波診断装置(エコー)を用いて、より簡単に、侵襲なく内蔵脂肪を測定し、内臓脂肪型肥満をスクリーニングすることで、メタボリックシンドローム発症予防や早期発見に繋がることが期待される。そこで本研究は、肥満リスクの評価基準となる内臓脂肪面積(内臓脂肪量:AFI)を活用した、エコーによる評価方法を検討した。
方法:健康な20歳代成人17名を対象にし、体重、BMI、体脂肪率、内臓脂肪レベルを測定した。また、内臓脂肪量(AFI)を、超音波診断装置のBモードを用いて、内蔵脂肪厚(㎜)/皮下脂肪厚(㎜)を測定し算出した。
結果:AFIは性別(男性2.63±1.34、女性0.66±0.43)による有意差が認められた。また、体脂肪率(r=-0.53)、皮下脂肪厚(r=-0.68)、内臓脂肪厚(r=0.73)に相関関係が認められた。BMIとAFIから、隠れ肥満(BMI18.5以上25.0未満、AFI男性1.0以上、女性0.7以上)で判定したところ、BMIで標準と判定されたうちの10名に隠れ肥満が認められた。
結論:本調査において、BMIや体脂肪率は、AFIを推測する指標にはなりづらく、内臓脂肪型肥満の人をスクリーニングするには十分でないことが確認できた。エコーを用いて正確にAFIを測定することは、簡単かつ対象者の身体に与える影響も少なく、内臓脂肪型肥満の人をスクリーニングできる。さらに、治療の成果や疾患の進行を定期的にモニタリングすることが可能である。日常生活では意識していなかった内臓脂肪を可視化することで、若年層から将来を見据えて生活習慣を意識し、予防や改善に向けた行動をとることが出来ると考える。