形態・機能
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脂肪細胞の分化にともなって変化する細胞外マトリックスに対する細胞接着性の変化
中尾 絢高橋 敬
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2007 年 6 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

身体の組織・器官は細胞から構成されている。その形づくりの基本は細胞同士や細胞が各種の細胞外マトリックスなどに接着し、またそれを足場にして移動ずることにある。
脂肪組織は体重の20%も占め、肝・腎臓に次ぐ大きな組織である。脂肪滴としてエネルギーを備蓄するだけでなく、各種のホルモン様生理活性物質 (アデイポサイトカイン) を合成・分泌する組織としても知られている。脂肪組織iの形成に際して、細胞培養系では未分化の前脂肪 (線維芽) 細胞は細長く平たいが、脂肪細胞に分化すると、丸く大きな細胞へと形態変化がおこり多量の脂肪が蓄積ずることが観察される。すなわち、細胞が細胞外マトリックスと相互作用する部位 (接着班) から離脱することによって細胞自体が大きく変形できることが予想される。このような形態変化 (トランスフォーメイション) にともなって、接着の仕方がどのように変化するのかを検討し鳥その結果、脂肪細胞に分化すると接着班を構成している接着分子 (インテグリン) やビンキュリンは減少するが、プラスに荷電した基質 (ポリ-L-リジン) に対しては、前脂肪細胞に比べて接着性が増加していた。分化にともない接着因子と細胞表面荷電が変化することが示唆された。

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© コ・メディカル形態機能学会
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