形態・機能
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フィブリンのネットワーク形成に及ぼすカドミウムや熱の影響
酒見 博之石井 理恵西村 尚子山口 暁子高橋 敬
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2009 年 7 巻 2 号 p. 41-50

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抄録

イタイ・イタイ病の原因の1つはカドミウムであり、病態として高体温が続くと身体機能に変調を来す。本研究は重金属や熱によるフィブリンの重合に及ぼす影響を初めて定量的に検討した。ロジスティック成長式の数値解、写真画像のフラクタル分析と蛍光分析結果は、1) ロジスティック曲線の接線はフィブリンの重合速度、プラトー値 (定常状態) は重合度 (フィブリン線維密度) を示唆した。2) フィブリンは2分岐成長するフラクタルであり、その次元 (D) を分析する直線の傾きは重合速度に、縦軸切片は重合度 (画像密度) に対応した。カドミウムや熱処理によってフィブリンは非線維性の不規則な凝集塊を呈した。混合フィブリン塊 (FITC―標識とRITC―標識熱変性) の2蛍光色分析から、3) 正常フィブリンと変性フィブリンは不均一なフィブリン塊を形成し、また変性フィブリンは正常フィブリンよって部分的に代償されることが示唆された。

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© コ・メディカル形態機能学会
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