副業の生産構造の把握は GDP 統計構築の基盤となる役割を担い、統計先進国でもその改善に向けた取り組みが継続されている。日本では 2011 年を対象として「経済センサス-活動調査」の売上調査が実施されるものとなった。2015 年にも継続された同調査では、事業所ごとの主活動は日本標準産業分類(JSIC)の小・細分類に基づき格付けられるが、主活動の属する事業別内訳を超える副次的生産物の売上把握は 22 分類という大枠のみに限られ、ベンチマーク生産体系の把握における精度改善を阻む大きな障害となっている。本稿では経済産業研究所「売上の多様化に関する調査」(Survey on Diversification of Sales:SDS)に基づき、主活動(JSIC小分類)と副次的生産物(SDS生産物900分類)との間の類型を抽出し、ベンチマーク生産体系の現行精度を評価しながら、将来の統計調査票における改善の方向性を探ることを目的としている。本稿の試算結果によれば、現行の 2015 年産業連関表における副次的生産物の国内生産額として 13.0 兆円、GDP に換算して 6.3 兆円が欠落している可能性が示される。