結核
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原著
肺非結核性抗酸菌症に対する外科治療後の再燃/再発症例の検討
山田 勝雄杉山 燈人安田 あゆ子関 幸雄長谷川 万里子林 悠太垂水 修中川 拓山田 憲隆小川 賢二
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2013 年 88 巻 5 号 p. 469-475

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抄録

50例の肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)に対する手術を経験した。今回,術後1年以上の経過観察を経た37症例に対し,再燃再発に焦点を当て検討を行った。年齢・性別・術前画像スコア・空洞病変の有無・術後残存病変の有無・術前化学療法・術前治療期間・術後観察期間・術摘出組織の菌培養の結果・起因菌・術式の11の項目について再燃再発群と非再燃再発群との比較検討を行った。このうち統計学的有意差を認めたものは,術後残存病変の有無・術前治療期間・術摘出組織の菌培養の結果の3項目であった。この結果より,肺NTM症で手術適応がある症例はできうる限り早期に手術を施行すること,また手術では残存病変を残さないこと,が術後の再燃/再発を防ぐために大切であることが示唆された。また,術摘出組織の菌培養は,術後のより詳細な経過観察を必要とする症例を抽出するうえでの一つの指標になりえ,菌培養陽性例では術後の化学療法の期間を延長するなど,より詳細な術後経過観察が必要であると考えられた。手術を施行した50症例に関し術死や在院死はなく,手術に関連した大きな合併症も認めず,肺NTM症に対する手術は安全に行いうる治療法と考える。

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© 2013 日本結核病学会
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