結核
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原著
結核病床における院内DOTS業務量に関する分析
永田 容子浦川 美奈子小林 典子加藤 誠也
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2014 年 89 巻 4 号 p. 495-502

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抄録

〔目的〕院内DOTSの業務量の実態を調査することにより,各職種の関与とその必要性を示すことを目的とした。〔方法〕院内DOTS業務を「教育指導」「服薬支援」「連携」の3群,25項目に分類し,結核病床数が20床以上の医療機関20施設の協力を得て,関係する職種に各業務項目に要する時間を記録してもらい集計・分析した。〔結果〕結核の医療に関わる主な職種の1勤務当たりの院内DOTS業務に関わる平均時間は,看護師100分,薬剤師90分,医療クラーク87分,看護師長86分,医師63分であった。その他の職種では,医療ソーシャルワーカー31分,看護助手18分,栄養士10分,理学療法士8分であった。患者1日1人当たりに要する院内DOTS時間は,56.8分であった。〔考察〕「院内DOTS」の要素である「教育指導」「服薬支援」「連携」に関する業務は医師,看護師,薬剤師,医療ソーシャルワーカー等が入院患者の特性に応じたチームでそれぞれの職種の役割を反映する形で実施されていることが明らかになった。院内DOTSが適切に実施されるためには,服薬確認・指導のみならず,退院後の治療完遂に向けた集団や個別での患者教育,退院後の服薬支援に関わる保健所との連携も含めて効果的に実施されることが重要と考えられた。

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© 2014 日本結核病学会
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