結核菌DNAのRestriction fragment length polymorphism (RFLP) 分析を正確かつ有効に結核対策に活用するため, 県内の結核菌分離株のRFLPパターンにどの程度類似性が見られるかを, 1999年12月から2001年12月までに分離された395株を用いて調査した。RFLPパターンは多様性を示し, 342種類が見られた。パターンが完全に一致した同一クラスターは, 34種類 (87株) あり, 同一クラスター内における感染源の一致率は20%であった。しかし, これを59歳以下の患者間で見ると60%であり, RFLPパターンの一致は, 特に若い世代の患者間において重要な感染源の指標となることが示唆された。全体的な類似性としては, 4種類の主要な流行株を中心に, 近縁の株が約40%を占めていた。また, これらの流行株は, 日本人に多いと言われるパターンに一致しており, 岡山県の地域特異株ではなく, 全国レベルで伝播している株であることも判明した。