結核
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相談例からみたツベルクリン反応の問題点と対策
BCG再接種の廃止と硬結径による判定を採用した場合のツベルクリン反応への影響
西尾 恵子鈴木 公典角南 祐子志村 昭光猪狩 英俊長尾 啓一
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2002 年 77 巻 10 号 p. 639-645

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抄録

「千葉結核ダイヤル110番」には開設時より平成12年9月までの3年間に延べ1453件の相談があり, その中でツベルクリン反応検査 (以下, ツ反応) に関するものが383件 (26.4%) と多かった。今回, ツ反応の何に疑問があるのか, またなぜツ反応に関する質問が多いのかを知るため, ツ反応前, 中, 後の時期的区分別と相談者の職種別に質問内容を分析検討した。その結果から現在のツ反応の問題点と今後の課題について考察した。
相談はツ反応実施後のものが最も多くあった。その中では, 判定結果の解釈に関係するものが専門職で74.2%, 一般市民で91.8%を占めていた。判定結果の解釈が困難な原因としては, BCG接種が広く実施されていることとブースター現象の影響が考えられ, さらに発赤径による計測, 特に二重発赤ではばらつきが大きくなり, 結核感染の診断に影響を与えることもある。BCG再接種を廃止すること, およびツ反応の繰り返しをなくし, ブースター現象の影響を除外できれば, ツ反応による感染の有無の判断が容易となると考えられた。また, 硬結径を発赤径と同様に計測し併記し, 解釈の際には硬結径を参考にするのがわが国の現状からは実際的であると考えられた。

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