結核
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一集団結核発生事例におけるツ反検査の意義
安藤 勝也山中 克己明石 都美
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2002 年 77 巻 9 号 p. 589-595

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抄録

高校教諭に肺結核が発症し, それにより同高校の教職員2名ならびに生徒4名の結核患者と75名 (教職員3名, 生徒72名) の予防内服の患者が集団発生した。初発患者は27歳の男性教諭で, 1年3・6組2年4・5組に簿記を教え, 3年1組の副担任であり, バドミントン部の顧問もしていた。平成11年11月より軽い咳があり, 近医を数回受診し, 平成12年1月N病院受診しガフキー8号学会分類bII2と診断され入院治療となった。当保健所は, 教職員63名, 学生153名の合計216名を対象とした定期外検診を行った。直後の定期外検診にて, 1名の生徒がlIII1肺結核と診断された。ツ反検査のヒストグラムから40mm以上の発赤径を示した27名の生徒が感染を受けたとして, 予防内服のため病院に紹介した。2カ月後の定期外検診のX-Pにより2名の生徒が肺結核 (lIII1・lIII1), 1名の生徒が結核性胸膜炎と診断され, 1名の職員が肺結核γIII1と診断された。ツ反検査により直後の発赤径に比して17mm以上大きくなった45名の生徒と職員3名の合計48名が感染を受けたとして, 予防内服のため病院に紹介した。12カ月後の定期外検診にて職員1名がγII1肺結核と診断された。初発患者の家族検診において兄が結核性胸膜炎, 母がlIII1肺結核と診断され, 親戚の子供1名が予防内服となった。ツ反を判断するにあたり, 結核病学会の「結核医療の基準」に従って画一的に予防内服を決めることは, 危険であり, 事例に応じて柔軟に対応すべきとの示唆を得た。

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