結核
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高齢者施設における結核発病実態
宍戸 真司星野 斉之石川 信克森 亨高里 紀子
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2003 年 78 巻 11 号 p. 691-697

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抄録

[目的] 高齢者施設において結核発病時の実態およびそれへの対応について検討し, 高齢者施設での結核早期発見, 感染予防対策改善に寄与することを目的とした。 [対象] 高齢者施設23施設を有する保健所管内の特別養護老人ホームにおいて, 平成10年から14年にかけて15例の結核患者が発生し, この15例を対象とした。 [方法] 発病した15例について診断に至るまでの経緯, 診断時の病態, 接触者健診の内容と予防内服状況について, ビジブルカード等からの情報収集, 関連施設と病院への問い合わせや訪問, 事例検討等を行った。 [結果] 入所者の結核発見から死亡までの期間が10日以内と短期間であったのが4例あり, 受診が遅れている傾向にあった。症状発見では発熱発見が多く, 次いで咳による発見であった。 [結論] 入所者の結核早期発見には, 身体的諸種異常の継続的観察記録と異常時に早期に対処できる組織的取り組み強化が最も大切である。また, 職員の二段階ツベルクリン反応検査を行っておくことが, 接触者健診対応上大切である。

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