結核
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M.avium complexの肺感染に難治性の気胸を併発し, 左肺全摘で判明した左肺形成不全の1成人例
平田 世雄辻 英一
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2003 年 78 巻 11 号 p. 699-704

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抄録

患者は52歳男性, Wolff-Parkinson-White's syndrome (以下WPW症候群と略) を合併し, 短期間に肺病変が進行拡大して病期lII2で来院, 検痰の結果Mycobact6rium intracellulare (以下MACと略) と判明した。化学療法開始10カ月後より気胸を併発し, 難治で緊張性気胸に移行したため受診1年2カ月で左肺を全摘した。上葉は舌区の欠損, S3に鶏卵大の含気性の先天性肺嚢胞形成と, 残余の後肺尖区はMAC症による無気肺硬化を認めた。一方下葉は胸膜の短縮による変形, 下縁の鈍化挙上とS6のMAC症病変で, 左肺は一層含気の低下を招き合併した気胸は難治と判明した。術後PaO2が初診時の76.6torrより99.2torrに上昇し, 合併症もなく, 患者は早期に軽快退院した。本症例は肺の末梢気道と肺実質の形成不全であり, このような形成不全肺は感染を受けやすいといわれているが, 抗酸菌感染の報告は少ない。

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