結核
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慢性結核性膿胸患者にみられる胸部悪性腫瘍
田村 厚久蛇沢 晶相良 勇三鈴木 純子益田 公彦馬場 基男永井 英明赤川 志のぶ長山 直弘川辺 芳子町田 和子倉島 篤行小松 彦太郎四元 秀毅
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2004 年 79 巻 4 号 p. 301-307

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抄録
[目的] 慢性結核性膿胸に合併した胸部悪性腫瘍について検討した。 [対象と方法] 1977年から2002年の問に当院で入院治療を行った, 慢性結核性膿胸に胸部悪性腫瘍を合併した15例を臨床病理学的にレビューした。 [結果] 15例の内訳は男性13例, 女性2例, 平均67歳で, 13例に人工気胸術 (9例) をはじめとする結核手術歴があり, 疾患別には膿胸関連リンパ腫9例, 肺癌4例, 悪性線維性組織球症, 血管肉腫各1例であった。患者の背景因子は各腫瘍間に差異がなかったが, 胸痛や発熱などの症状は膿胸関連リンパ腫症例のほうが他の腫瘍症例よりも明らかであった。いずれの腫瘍も膿胸腔から膿胸周囲に存在したが, 単純X線像ではしばしば腫瘤を認識できず, CTやMRI像をもとに気管支鏡検査や経皮針生検などで診断が得られることが多かった。肺癌はいずれも膿胸壁に接して存在していた。治療や予後に関して, 膿胸関連リンパ腫は切除や化学放射線療法が奏効しやすく, 5年生存率も40%であったが, 他の腫瘍の予後はきわめて不良であった。 [結論] 慢性結核性膿胸患者管理においては種々の腫瘍の発生に留意し, 慎重に観察していく必要がある。
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© 日本結核病学会
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